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北朝鮮経済、危機的状況に

Japan In-depth / 2018年12月22日 16時44分

北朝鮮経済、危機的状況に


朴斗鎮(コリア国際研究所所長)


【まとめ】


・“絶糧世帯”増加、高まる北朝鮮経済の危機。


・農民への食料も足りず、米価は1カ月で17%上昇。


・GDPは、2017年は前年比3.5%減少、2018年はさらに減速へ。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=43290でお読みください。】


 


2018年の北朝鮮の経済は、その構造的脆弱性が国連安保理及び米国の制裁と重なり、一層深刻な状況を余儀なくされた。最近北朝鮮を訪問した在日朝鮮人は、「北朝鮮はいま第2の苦難の行軍」に入ったと異口同音に語っている。アジアプレスも7月、北朝鮮内部協力者からの報告をもとに、「ついに一部農村で飢餓発生、“絶糧世帯”増加で慌てる当局」との報道を行った。“絶糧世帯”とはお金も食べ物もまったくなくなった家庭のことである。


 


■ 市場は活気を失い農村は危機を深めている


中国の統計によると、北朝鮮からの1~10月の輸入額は前年同期と比べて89%も激減した。米朝首脳会談直後は「もうすぐ制裁は解除され貿易や合弁事業が活性化する」との期待を膨らましていた北朝鮮の経済関係幹部たちはいま意気消沈している。


「金正恩経済」をけん引してきた「市場」は、輸出入の減少で活気を失っている。需要の低迷でガソリン価格は一時下落したが、このところの供給不足で再び上昇に転じ始めている。内部からの情報によると、平壌市内のガソリン価格は、一時ℓ当1.5ドル(約185円)まで下落していたが、11月上旬にはℓ当1.9ドル(約234円)まで上昇した。


食糧危機も深刻化している。北朝鮮では7月に入って一部地域では気温が40度を超すなど記録的猛暑が続き、コメやトウモロコシといった農作物に大きな被害が出た。特に一般大衆の主食であるトウモロコシは、発育が悪く収穫量が前年比10%も減少した。韓国の農村振興庁は12月18日、北朝鮮の今年の穀物生産量が455万トンと昨年よりも3.4%減少したと発表したが、これで2年連続の減少となった。国連食糧農業機関(FAO)は、食糧不足量が約64万トンに達すると推算しており、ほとんどの北朝鮮の家庭が食糧不足に陥ると診断した。



▲写真 板門店から開城に行く途中の農村 出典:Frickr; Comrade Anatolii


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