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北朝鮮経済、危機的状況に

Japan In-depth / 2018年12月22日 16時44分

 


■ 収穫された穀物の移動も禁止された


自由アジア放送によると、北朝鮮は9月に人民保安省(日本の警察庁に相当)名義の布告を出し、協同農場はもちろん一般の道路に設置された検問所などでも食料の持ち出しに対する取り締まりを強化しているという。布告では「農場の田畑に侵入し窃盗を行った者には法律で厳正に対処するのはもちろん、悪質な場合は死刑に処する」と警告しているという。


自由アジア放送の咸鏡北道消息筋は12月10日、「国営農場が一年間農作業を総括(決算)したが、農場員個人への分配があまりにも少なかった」とし「今年も軍用米をはじめとする国家計画分をあまりにも多く徴収したために農民に分けて与える食料が足りなくて農場ごとに頭を悩ませている」と伝えた。国連食糧農業機関(FAO)が公表した報告書によると、コメの価格は8月から月にかけて17%ほど上昇したとのことだ。


そうしたことから、9月初めに黄海南道載寧の合同農場では、現場の責任者が自殺したという。当局は食料生産の40%を軍に供給するよう命じたが、この責任者は命令に不満を抱いて自殺したようだ(朝鮮日報日本語版 2018/10/01)。


 


■ 平壌では不動産価格が暴落し新築アパートも雨漏り


こうした農村での悲惨な状況が伝えられる一方で、都市では一時暴騰したアパート価格(所有権ではなく使用権)が暴落し始めている。そればかりか、金正恩委員長が自慢した黎明通りなどの新しいアパート群もいま雨漏りに悩まされ防水作業に必死だという。そのために中国にブルーシートの注文が殺到している。金正恩委員長の「制裁は効いていない」とする「見せるための政策」はボロを出し始めたようだ。



▲写真 黎明通り 出典:Wikipedia


韓国銀行(中央銀行)が7月20日に発表した推定統計によると、北朝鮮の2017年実質国内総生産(GDP)は、干ばつや経済制裁の影響で前年比3.5%も減少したとされ、20年ぶりの低水準となったとしているが、2018年度の落ち込みはそれ以上になると予想されている。


北朝鮮はいま対外宣伝サイトで「自力更生が徹底している北朝鮮への制裁は無駄だ」と強調し、「時間は米国の愚かさを悟らせるだろう」と主張しているが、実態を覆い隠し経済危機を住民の犠牲で乗り切ろうとする思惑の表れと見られる。


金正恩委員長は今年4月の朝鮮労働党中央委員会で、核兵器が完成したので経済に集中すると宣言し、昨年に比べ経済部門の視察を59.2%も増やしたが、その結果は見るも無残な状態だ。このまま「非核化」に乗り出さず米国とのこう着状態が続けば、2019年の北朝鮮経済は一層深刻な事態となるに違いない。


トップ写真:万寿台:金日成像と金正日像 出典:Wikimedia Commons


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