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世界経済 米頼みで大過なく推移~2019年を占う~【世界経済】

Japan In-depth / 2019年1月3日 7時0分


▲写真 英国 EU離脱に反対する市民 2017年12月 出典:Photo by Chris Allen


以上のように、2019年の世界経済については、「悲観材料はたくさんあるが、米国経済を頼りに、決して順風満帆ではないものの大過なく推移しそうだ」というのが現時点での大方のメイン・シナリオだろう。



▲写真 黄色いベスト運動 フランス 2018年11月 出典:Photo by Obier


しかし、潮目ははっきり変わったと認識すべきだと思う。1990年代以降の、市場メカニズム・金融仲介・グローバル化を重視するマクロ経済運営が、色々なところで抜き差しならない問題を引き起こしている。世界の国・地域が、産業の盛衰、労働の移動、文化の融合といったことを極めて円滑に受け入れることができるなら、今日のような激しい摩擦は生じなかっただろう。しかし、現実の人間の社会には様々な粘着性があって、人はそう簡単に仕事を変えたり、風習を変えたり、ましてや言語を変えたりはできない。


そうした人間社会が持つ粘着性の結果生まれた様々な分断が、世界のあちこちで政治の場に持ち込まれ、2019年の世界経済はその中で動いていくことになる。したがって、必ずしも経済原則だけでは説明できない展開となる可能性をこれまで以上に覚悟しておくべきだろう。


ところで、日本はそのような粘着性をかなり重視する、別の言葉で言えば急速には色々なことを変えないスタンスを相対的には堅持してきたと言える。したがって、今改めて欧米社会と比べてみれば、政治や社会がより安定しているようにみえるところもある。事実、海外ではそう受け止める向きも少なくないようだ。しかし、そうであるが故に日本経済は相対的に停滞してきたのも事実である。


結局のところ、またバランス論になってしまうが、経済原則を重視して成長を加速させるベクトルと、社会の安定性を重視するベクトルがある中で、その2つをどう調和させていくかということの難しさに思いが至る。


1990年代以降の「失われた期間」とさえ呼ばれる間の日本の対応には、明らかに足らざるところがたくさんあった。その一方で、ここへきて世界で起きていることは、日本がやってきたことの全てが間違っていた訳ではないと教えてくれているような気もする。そういう複雑な思いで迎えた2019年、日本にとっては新しい元号の始まる年である。


トップ写真:米NYSE 出典:Max Pixel(Public Domain)


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