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韓国レーダー照射問題 20年前の外交の失敗が遠因 ~日本海の波高し~その1

Japan In-depth / 2019年1月9日 17時42分

 


まず、日本政府はなぜ「能登半島沖のEEZ内の大和堆」などという、あいまいな表現を使うのか。水深が浅く、イカやズワイガニの絶好の漁場である大和堆の大部分は、韓国が竹島領有を認められたとしても基点から200海里(約370km)以遠の、純粋に争いのない日本のEEZ内にある。(ごく一部は竹島領有を根拠に韓国がEEZを一方的に設定し、日本のEEZと重複する区域内にある)。



画像)大和堆と暫定水域の位置関係


出典) 鳥取県農林水産部水産振興局水産課


 


今回の事件では、韓国政府が「事件は韓国のEEZ内で発生した」とは一言も主張しておらず、「竹島から100キロメートル」地点(その海域は大和堆には含まれず、かつ韓国の主張する韓国EEZ内であるため、故意の誤りだろう)だとしている。


 


このことから、事件海域が法的地位に争いのない、日本のEEZ内であったことが示唆されている。ではなぜ、日本のEEZ内でありながら現場に「救助を待つ」北朝鮮漁船と、「救助中」の韓国海警、さらには韓国の軍艦までが航海していたのか。


 


それは、当該海域が、①韓国漁船に操業が許可され、②韓国海警が自国漁船への主権行使行為である取り締まりを行えるという、一種の治外法権状態が許された、いわゆる「暫定(ざんてい)水域」であるからだ。


 


日韓両政府が、暫定海域で日本側が被る不条理や不平等性について、それぞれの事情で日韓国民に知らせたくないため、両国のメディアの報道だけでは全体像がつかめないのである。


 


■ 現実化した20年前の懸念


 


なぜ純粋に日本のEEZである海域で、そのような変則的な国際漁業秩序が生まれたのか。そこには安易な政治的妥協で、韓国の漁船操業と海警による主権行使を認めてしまった、日本版の「太陽政策」の失敗が隠れている。


 


さらに、その妥協の背景にある日韓漁業問題は、1952年1月18日に「大韓民国隣接海洋の主権に対する大統領の宣言」により一方的に設定した韓国と周辺国との間の水域区分と資源と主権の保護のために引いた海洋境界線「李承晩ライン」をめぐる争いに端を発し、今日に至るまで常に係争がある歴史的な因縁に根差している。


 


こうした不正常な事態を、金大中元大統領が1998年10月に国賓として来日して、「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」の構築を打ち出す前に急いで解決しようと、当時の小渕恵三政権が日本の漁業関係者に意見も求めず、勝手に暫定水域の設定で「解決」したことが、今回の事件の遠因である。


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