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「変わるアジアのパワーバランス」 Japan In-depth創刊5周年シンポ その4

Japan In-depth / 2019年1月13日 10時19分

 


米韓軍事同盟があってもアメリカ大使館の前で毎日のようにデモが発生している。それが何万人と膨れ上がっていって、アメリカが出て行かざるをえなくなる世論を作っていけば、アメリカだっていくら軍事同盟があったっていつまでもこんなことをやっていられるか、という気持ちになり得る。



©Japan In-depth編集部


安倍:古森さん、韓国のそういう情勢を見てアメリカが韓国に対して制裁を課す可能性もあると聞くが。


 


古森:本来、脅威であり、根本的な邪悪性を持つとされていた北朝鮮の国家体制・金正恩体制というものを、諸手を挙げてそのまま受け入れようとしている文在寅政権に対してアメリカは非常に懸念を持っている。その具体例として、ポンペオ国務長官が国務省での記者会見で韓国政府に対して警告を出している。これは非核化なのだと、北朝鮮の核をなくすことがアメリカの最大の目的だと。


 


しかし、韓国のいまの動きはそのことを軽視し、ほぼ無視してとにかく仲良くなって経済的に援助することだと、人間レベルで交流すると、そっちの方向にどんどんいってしまっていて危険だということを言っている。トランプ氏も、人間、信条、物事の考え方として、文在寅氏と全く合わないということもある。ただ、いくらトランプ氏でもそれをボンボンと出すわけにはいかない。いまは北朝鮮の非核化という重大な命題、全世界にとってといってもオーバーではないほどの課題があるわけだ。トランプ氏はそれを優先するためには米韓がピタッと団結を保っていかなければならない、関係性が強くなくてはならないという意識がとても強いので、抑えている。


 


ところが、時々Twitterでぽろっと不満が出てしまい、『文在寅のアピーズメント(宥和政策)』が心配だと(トランプ氏が)述べたことがあった。この宥和(「アピーズメント)という言葉は、第二次大戦直前にイギリスのチェンバレン首相(当時)がヒトラーと会談したときに、ヒトラーに対して非常に宥和的な態度をとって、それが結局ポーランドにドイツ、ナチスが攻めいることを招き、第二次世界大戦が始まることになってしまったという歴史的な因縁のある表現だ。だから、ものがよくわかった顔をして宥和して相手の言うことを認めてしまう事はかえって危険なのだという時に使う、外交史でも伝統的な言葉だ。



写真)ミュンヘン会談からの帰国後に会見するチェンバレン首相


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