アメリカの中東介入、岐路へ
Japan In-depth / 2019年1月30日 11時8分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019 #05」
2019年1月28日-2月3日
【まとめ】
・米国にとってアフガニスタンとの対テロ戦争は国益とは言えない。
・歴史上、アフガニスタンを軍事支配できた国はない。
・シリア:「米軍による中東介入」の成果はあったのか?
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=43869でお読み下さい。】
先週から今週にかけて世界各地域で象徴的な事件が起きている。中東では米国がターリバーンと交渉し、アフガニスタンからの撤退を真剣に考えているらしい。欧州では英国首相がEU離脱で炎上している。米国では司法省がフアウェイ(華為、ファーウェイとは発音しない)のCFOを企業秘密盗取罪で正式に起訴した。
一方、アジア方面はどうか。日韓関係は極度に悪化しているが、両国以外は意外に冷めている。日本にとっては実にけしからん話だが、東アジアの関係諸国と米国を除けば、何が問題なのか分かっていない人々が殆どだろう。日本では、驚くべきことに、大坂なおみの全豪優勝のニュースよりも、「嵐」活動停止発表の方が注目された。
大坂選手についてはJapan Timesと産経新聞にコラムを書いたのでご一読いただきたい。彼女のように、日米二重国籍を持ち、ハイチと日本と米国という3つの国を代表できる立場にある偉大なスポーツ選手が「日本人」であるということは、一体いかなる意味を持つのか、そもそも「日本人とは何か」を問うた文章である。
▲写真 Naomi Osaka won the women's singles event of the 2018 US Open 出典: Wikimedia Commons; Azilko
以上のように今週も論じたいトピックスは多々あるのだが、ここでは米国の対中東政策に論点を絞りたい。振り返ってみれば、2001年の同時多発テロから18年、米国はテロの後遺症という「勢い」からアルカーイダの根拠地だったアフガニスタンを攻撃し、その後現在まで対テロ戦争は続いている。これが本当に米国の国益なのか。
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