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緊迫ベネズエラ 米、軍事介入説

Japan In-depth / 2019年2月5日 12時38分

出典)State Department Photo / Public Domain


 


 ベネズエラの有力紙「エル・ウニベルサル」の政治記者はエイブラムズ氏について「かつてイランへの武器売却代金をニカラグアの反政府ゲリラ(コントラ)支援に流用した秘密工作の立案者であることから、中南米の左派政権の間では以前から、要警戒人物とされてきた」と指摘するとともに、「2002年に当時のチャベス・ベネズエラ大統領追放を企てたクーデター未遂事件に米中央情報局(CIA)を介入させた張本人」と断言する。


 「ワシントン・ポスト」やCNNなど米主要メディアによれば、エイブラムズ氏は一時、国務副長官への起用が検討されたが、2016年の大統領選挙期間中、反トランプ的発言をしていたことからトランプ大統領がこの人事案を却下したという。今回、トランプ大統領がエイブラムズ氏の特使起用を認めたのは、ボルトン大統領補佐官の強い推薦があったからだとの情報もある。


 米国と中南米関係を詳細に伝えるマイアミのスペイン語新聞「ヌエボ・ヘラルド」によれば、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)では、昨年夏に就任したキューバ系米国人のクレバーカロン上級部長(西半球地域担当)が中心となって強硬な対キューバやベネズエラ政策を作成しているという。米国の中南米問題のシンクタンク「インターアメリカン・ダイアログ」のベネズエラ問題専門家は「ボルトン補佐官とクレバーカロン氏のチームに、エイブラムズ氏が加わり、トランプ政権の対ベネズエラ政策は、軍事介入も含め一層タカ派的傾向が強まるだろう」と予想する。



写真)ボルトン大統領補佐官


出典)ホワイトハウス ホームページ


 米国の軍事介入説はこれまでも取りざたされてきた。しかし、中南米では米国の介入がたびたび行われたという歴史的経緯から反米アレルギーが強いのも事実。トランプ大統領が一昨年夏、ベネズエラへの対応で軍事オプションの可能性を口にするや、中南米各国首脳が一斉に反発したのも、そのためだ。


■「人道的軍事介入」は可能か?


 中南米情勢をウォッチしている国連の政治・平和構築局(DPPA)の担当官は「ベネズエラへの米国の武力行使はこれまではトランプ大統領のブラフだったが、軍事介入の可能性は現実味を帯びている」と語る。同担当官によれば、1999年のコソボ紛争で米国を中心とする北大西洋条約機構(NATO)軍が「人道的介入」を行った例があり、「コソボとベネズエラでは違う点も多いが、大規模な人権侵害があり、多くの住民が周辺国に難民となって逃げている状況は共通しており、ベエズエラへの人道的な介入が正当化される余地がある」という。同担当官は「グアイド『暫定大統領』をさらに多くの国が承認し、グアイド氏が人道的見地から介入を要請するなら、安保理の決議なしの軍事介入もあり得るかもしれない」との見方を示す。


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