トランプ氏、非常事態宣言で壁建設可能?
Japan In-depth / 2019年2月6日 12時27分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019 #06」
2019年2月4-10日
【まとめ】
・議会に出席する権利のない大統領に認められている「一般教書」と呼ばれる演説。
・トルーマン大統領は非常事態宣言で鉄鋼業国有化図るも、米最高裁その権限を却下。
・米軍予算流用による壁建設問題は、法的でなく政治的問題となろう。
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今週の中国は春節で4日から10日まで休み。当然筆者の関心は5日の米大統領一般教書だ。昨年の今頃も書いたことだが、この英語でState of the Union addressと呼ばれる演説をなぜ「一般教書」と呼ぶのかは、実はよく分からない。という訳で、今年はもう少し真面目に調べた結果、色々なことが分かったのでご紹介しよう。
憲法上、大統領は議会に出席する権利を持たないが、文書の形でmessageを議会に送付することが認められている。State of the Unionを直訳すれば、「連邦の状態」だが、これが日本では「一般教書」、「年頭教書」などと呼ばれるようになったらしい。通常は「一般教書」の後に「予算教書」も発表されるので、両者を混同しないように。
一般教書が施政方針演説だとすれば、「予算教書」は米大統領が議会に毎年提出する、翌会計年度の予算の編成方針を示す文書だ。中長期的経済見通しなどについても盛り込まれるとされる。予算は議会の特権であり、大統領には予算法案を提出する権限がない。だから大統領は議会に対する要請として「予算教書」を作成するのだ。
調べついでにもう一つ気になることを書こう。トランプ氏は今回の一般教書で、大統領選挙中からの公約であるメキシコ国境での壁の建設に関し、「国家非常事態宣言」を発布する可能性を暗示している。大統領権限で米軍の施設建設費を流用して壁を建設するというのだが、これって、どう考えても滅茶苦茶だろう、と普通なら思う。
▲写真 トランプ大統領 サンディエゴの壁を訪問(2018) 出典:Instagram; realdonaldtrump
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