安倍首相の対露外交に懸念
Japan In-depth / 2019年2月6日 12時30分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・安倍首相の対露外交に米国当惑。日米同盟結束侵しかねないと懸念も。
・日ロ平和条約締結は露のクリミア占領を認める結果になる危険あり。
・国際社会が露を糾弾する中、日本が欧米の反発受ける可能性あり。
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安倍晋三首相の外交活動はアメリカの首都ワシントンでもこれまで評判がよかった。だが同首相のいまの対ロシア外交へのアメリカ側の反応は当惑だといえるだろう。安倍首相がロシアのプーチン大統領の勧めに応じて日露平和条約の締結へと進む場合、ロシアのクリミア占領を事実上認め、アメリカや欧州諸国の反発を受ける危険があるからだ。
プーチン大統領が2018年9月に安倍首相に対して、突然「年末までにロシアと日本の平和条約の締結を」と述べたことは米側でも大きく報道された。その後の安倍首相のロシアへのさらなる接近もトランプ政権内外では細心の注意を向けている。ただし公式のコメントはしない。あくまで日本とロシアが決める問題だから、という外交上の建前の配慮からだろう。
しかしアメリカ側は全般として日本のこの時期のロシア接近はいくつもの理由により懸念をもって眺めている。安倍首相のあまりに熱心なロシア接近は理解できず、当惑するという反応だともいえよう。なにしろ日本によるロシアへの現状での接近はアメリカの対ロシア政策に反し、日米同盟の結束をも侵しかねないという観測からだといえる。
トランプ政権に近い保守系の政治・外交雑誌『ナショナル・インタレスト』は最近号に「ロシアと日本の平和条約?」という論文を載せ、「もし日本がアメリカに対しての協調を減らせば、その条約は実現するかもしれない」という微妙な副題をつけていた。
▲写真 ジョシュア・ウォーカー氏 出典:ジョシュア・ウォーカー氏twitter
同論文の筆者はジョシュア・ウォーカーという保守派の中堅の外交専門家だった。その論文はアメリカ側は本音として現状では日本のロシアへの急速な接近は望まないという趣旨だった。その最大の理由はいまアメリカがロシアのクリミア占領を強く非難して、経済制裁までも実施中という事実にあるようだ。
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