安倍首相の対露外交に懸念
Japan In-depth / 2019年2月6日 12時30分
▲写真 日米首脳会談(2018年11月30日アルゼンチン・ブエノスアイレス)出典:外務省ホームページ
トランプ大統領も「ロシア疑惑」に追われる観もあるが、大統領選挙でのロシア側との「共謀」の事実はまったくなかったと断言し、ロシアのクリミア軍事占拠を一貫して非難してきた。この事実だけでも日本がいまロシアの国際的な無法行動に目を閉ざす形で二国間の平和条約を結ぶという動きは、アメリカの政策の軽視、無視につながるという認識が明白になる。
現実に日本がいまロシアとの平和条約を結べば、ロシアのクリミア占領をも認めてしまうという結果になりうるという危険がある。この種の平和条約は相互の国境画定の受け入れが核心となる。たとえ北方領土がこの条約でどんな扱いをされても、条約全体としてはロシアがいま主張する国境全体を日本側が認め、受け入れるという形となる。二国間の平和条約というのはそれが本質だとさえいえよう。
▲図 クリミア半島(赤色部分)出典:TUBS(Wikimedia Commons)
日本国内ではいまこの点への懸念はほとんど表明されていない。ロシアとの平和条約を結べば日本はロシアのクリミア占領をも認めてしまうことになりかねないのだ。周知のようにロシアのクリミア占領は重大な侵略行動だとしてアメリカだけでなく、ヨーロッパの諸国も激しく糾弾している。そんな国際環境の中で日本だけがロシアのその侵略行動を認めるような動きをとった場合、どうなるか。悪影響が及ぶのは決して日米同盟だけではない。ヨーロッパの大多数の国とも衝突することになる。
この点ではいまの日本のロシアへの接近は決して北方領土の扱いだけを意味しないのだ。ロシアとの平和条約にはクリミア問題が必ずからんでくるのである。この点の議論が日本国内で起きていないこと自体にも深刻な懸念を感じさせられる。
トップ写真:日ロ首脳会談(2019年1月22日モスクワ)出典:首相官邸ホームページ
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