いずも空母化「人類に不幸」?奇妙な朝日の主張
Japan In-depth / 2019年2月9日 16時51分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・「いずも『空母』化」「人類に不幸」とのコラム朝日新聞掲載。
・「自衛から攻略へ。能力を激変させる転換点」と結ぶ。
・「空母は人類に不幸」という主張にはなんの根拠も論理もない。
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空母は「人類に不幸」をもたらす——こんな奇妙な主張が朝日新聞に掲載された。2月7日の朝刊の「ザ・コラム」というコラム記事だった。筆者は編集委員の駒野剛記者である。
見出しは「いずも『空母』化」「人類に不幸」「自覚なき転換」だった。この見出しが象徴する記事の内容は、日本の自衛隊の「いずも」の空母化は人類に不幸をもたらす、というユニークな主張だった。
空母が人類を不幸にするというのならば、いまの世界ではまずアメリカ、中国がその筆頭の「犯罪国家」となるだろう。アメリカは世界最大の空母保有国、中国は世界最大の精力を注いで空母を新造している国だからだ。
▲写真 中国で2番目の空母、最初の海上試運転後、2018年5月18日中国北東部の遼寧省大連造船所に戻る。(Photo by eng.chinamil.com.cn/Yu Xiaoquan)出典:China Military
いまの世界ではその他にも航空母艦を持つ国、あるいは持ってきた国は多々ある。イギリス、フランス、アルゼンチン、ウクライナ、インド、イタリア、ドイツなどである。これらの諸国がみな人類を不幸にしてきたのか。
駒野記者の記事は前半で近年の種々の戦争や緊急時に空母が演じた役割を書く。とくにアメリカの空母が湾岸戦争や台湾をめぐる中国との対立で果たした効用を説明する。そのうえで日本も対米戦争では空母をフルに使った歴史を述べる。だが空母がなぜ人類を不幸にするかの説明は出てこない。
同記事は最後に近い部分で「空母は空を制し、敵国の中枢部も襲う」と書いたうえで、日本海軍の連合艦隊司令長官だった山本五十六が1934年(昭和9年)のロンドン軍縮会議予備会議で日本案として空母の全廃も提案したとして、以下のように記していた。
「山本は空母の全廃を主張する。米代表は、航空の司令官だった人の口から廃棄を聞くのは意外だと冷やかした。山本は『だからこそ、その廃棄を主張する』、戦時の空母の使命が『人類に不幸なるものか』、知るのは自分だけだ、と反論した。事実、空母に始まった戦は日本人を不幸にした」
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