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パフォーマンス理論 その1 練習時間

Japan In-depth / 2019年2月11日 12時22分

18-26才の間には長時間練習したこともある。私は意味がなかったと思っているが、長時間練習により底支えができたので頂点が高くなったという考え方もありえる。年に数度であれば長時間練習することは限界を知る上では良いのかもしれない。けれども日常的に長時間練習をすることは割りに合わないというのが結論だ。いかに理由を説明する。


長時間練習のパフォーマンス向上面での弊害は、だらだらと力を出すことを体が覚えてしまうことだ。例えば生理学的には人間の無酸素運動の最大出力は6秒程度しか持たないと言われている。200mでは20秒程度走ることになるが、選手は全力を出しているように見えて微妙に98%程度の力の出し具合にコントロールする。


200mと100mの専門家が微妙に分かれるのは、力の出し方に違いがあるからだ。このように練習時間を伸ばせば、生理的限界から体がその時間に適応し始める。これを精神力でなんとかすることはできない。日本人がエンデュランス系に強く、パワー系が弱いから練習時間が延びたのか、練習時間が長いからそうなったのかはわからないが、練習時間を長くすれば、長くできる程度の出力しか出せなくなる危険性がある。ほとんどの競技において瞬間のパワーは重要なので、練習時間を短くし時間単位の出力を高める環境を作るべきだと私は考えていた。


もう一つのデメリットは、練習時間が長ければ何が重要な練習なのかを選手が意識しなくなる。例えば、上半身が重要だからと30分練習時間を伸ばしてウエイトトレーニングを入れることもできるが、それであれば上半身とハードル練習のどちらがより重要なのかという比較がなされない。制限がかかれば人は何を優先するかを考え始め、比較が始まり、より本質的に自分に必要なものを取捨選択するようになる。


練習の最初の1時間で練習効果の9割は得られ、そしてその1時間すぎてから徐々に怪我のリスクが高まると私は思っていた。考え方は二つに分かれる。残りの1割が勝敗を分けるのだという人と、1時間を超えた練習は合理性がないという人だ。私は前者の人生を生きてきて、後者に至ったタイプである。前述したように前者があったからそこに至ったのかどうかはわからない。いずれにしてもうまくさえなれば1日1時間の練習で五輪に行く程度の負荷は加えられるようになる。練習の出力がとても大きくなるので、ハードパンチャーが自分の拳を壊すようなことができてしまうので大人の練習時間は徐々に短くなる。


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