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パフォーマンス理論 その2 体幹

Japan In-depth / 2019年2月12日 10時37分

パフォーマンス理論 その2 体幹


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)


【まとめ】


・私たちの世代で体幹が重要だと言われ始めた


・体感の範囲は大腿部の付け根部分から上、おへそより下のあたり。


・熟達すれば結局全てのトレーニングが体幹トレーニングになる。


 


【注:この記事にはリンクが含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44087でお読みください。】


 


私たちの世代で体幹が重要だと言われ始めた。古くは丹田など様々な言葉で体幹の重要性は語られていたので、古来から重要視はされていたのだろうと思うが、体幹という言葉が一般に浸透したのが私たちの頃からだと思う。


体幹と呼んでいるものの具体的な位置は実ははっきりしていない。学術的にははっきりしているのかもしれないが、スポーツの現場ではトップ選手でも具体的な場所を把握していなかった。私がイメージしていたのは、腸腰筋、脊柱起立筋下部、腹直筋下、内・外腹斜筋、腰方形筋あたりだった。特に腹斜筋はよく意識した。


体幹がなぜ重要なのか。それは股関節周辺に最も大きな筋肉が集まっていて、力を生み出す源であり、また上半身と下半身を接続する部分だからだと考えていた。立位で行うスポーツの場合、力というのは基本的に地面からもらっている。地面に力を加え返ってきた力を伝達することでパフォーマンスを発揮している。走るのも打つのも蹴るのも投げるのも、まず地面を踏んでいる。オフィスにあるようなくるくる回る椅子の上でパフォーマンスしてみると、地面を踏むことの重要性がよくわかる。


陸上競技であれば地面を踏む瞬間に体重を乗せて股関節伸展をしているが、その股関節伸展をしている際に根元を固定するのが体幹になる。体幹が弱ければ土台が固定されていない砲台のようになり、踏み込んだ瞬間ぐらっと揺らいで十分な力も精度もでない。


また地面に力を加えその反力が戻ってきた際にも、体幹が固定されていれば力はそのまま上半身に伝わるが、弱ければ力が途中で逃げる。野球の金属バットの真ん中がプラスチックでできていたら、いくら強く打ってもバットがボールに押されて曲がって、飛ばないとの同じ原理だ。


体幹が強いというのは表面に見えている筋肉の強さのように思えるが、本当に体幹が使えるようになると実はいわゆるシックスパックと言われるような腹筋は緩む。シックスパックだからといって体幹が強いかと言われると、私の経験上さほど相関していなかった。体幹の中心は目に見えにくい。


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