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パフォーマンス理論 その2 体幹

Japan In-depth / 2019年2月12日 10時37分

少し体幹のイメージを羅列する。普段は弛緩しているが、力を入れる瞬間に腹圧をかけ下に押し下げ、腹で食いしばるような感覚だった。マウスピースを顎で噛み締めてガッチリホールドするのに近い。バランスボールがあって、それを全方向から潰せば空気の逃げ場がなくなり内圧が高まる。着物の帯で体を占めるように、自分の腰周辺の筋肉で巻きつけて圧力をかけるようなイメージだろうか。そしてそのバランスボールの中に軸が垂直に立っている。おもちがありその中心に箸を突き立てているとしたら、もちが体幹で箸が背骨だ。


私の結論では極端に言えば、人間の状態は、体幹が使えているか、使えていないかの二種類しない。もし使えていなければ体幹トレーニングは体幹を鍛えているというよりも力を入れるためのコツを探しているのに近い。一旦使えるようになれば全ての動作に体幹を使ってしまうので、日常動作すら体幹トレーニング化する。


極論だが体幹トレーニングというのは存在せず、トレーニングは全ては体幹トレーニングと言える。もちろん実際にはグラデーションがあって、少し使えるから自由に使えるまで随分と距離がある。その力の入れるきっかけを探すのが体幹トレーニングなのだろうと思う。


体幹に効きやすいトレーニングというものはあった。私の経験では、以下の三つが効いた。



1、ハンマー投げの出だしの1,2回転のように、正面を向いたまま少し腰を落として紐のついた重たいメディシンボールをぐるぐる回す練習。


2、デッドリフト・ワイドスクワット


3、メディシンボール投げ



私の感覚ではともかく正しい姿勢での座り立ちが一番腹圧を高める感じがわかって効いた。ハンマーの振り回しは全方向から自分の上半身が引っ張られるのでそれを踏ん張ることでかなり鍛えられたと思う。ワイドスクワットだが、どうも内転筋と臀部への力の入り具合が腹圧を高める強さがつながっているような気がしていたので多用していた。


調子が良い時には、臀部と内転筋、下っ腹周辺が全方向から下っ腹の中心部を抑え込んでいるような感覚があったからだ。そこから推測するに、私のいう体幹の範囲は大腿部の付け根部分から上、おへそより下のあたりが範囲なのだろうと思う。


体幹のようなものはどうしても魔法のように語られがちだが、結局使いこなすためには地道な試行錯誤しかない。体幹に力が入るようになれば何が起きるか。まず肩の力が抜け柔らかくなる。肩や身体の末端部に力が入るのは、中心部でコントロールしきれていないものを調整するために負荷がかかっているからだ。中心でコントロールしきれれば末端は弛緩できる。素人がスキーをやって全身筋肉痛になるのはそういうことで、熟達者になれば入れるべきところに入れた後は、全身遊んでいる。余談になるが、体幹が強くなって私はおしっこの勢いが出るようになった。膀胱に圧をかけられるようになったからだろうか。


現役の終盤では、体幹トレーニングは立って行なっていた。というよりスクワットをしてもデッドリフトをしてもスナッチをしても腹筋含む体幹がヘトヘトになったので、あまりそれ以外のことはしていなかった。そのような経験から、熟達すれば結局全てのトレーニングが体幹トレーニングになると考えていた。


(この記事は2019年1月14日に為末大HPに掲載されたものです)


トップ写真:トレーニングイメージ画像 出典:pixabay


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