韓国国会議長訪米のわけ
Japan In-depth / 2019年2月21日 18時0分
島田洋一(福井県立大学教授)
「島田洋一の国際政治力」
【まとめ】
・韓国国会議長、訪米の目的は北朝鮮の制裁緩和。
・早まった圧力緩和は真の非核化の妨げとなる。
・日本は超党派で「制裁堅持」を主張すべき。
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韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が米ブルームバーグ通信が2月8日付で報じたインタビューで慰安婦問題に触れ、天皇を「戦争犯罪の主犯の息子」と呼んだ上、直接謝罪を求めたことが波紋を呼んでいる。
日本からの高まる批判に対し、文氏は「謝罪する側が謝罪せず、私に謝罪しろとは何事か」「盗人猛々しい」などと反発し(韓国聯合通信、2月18日)、騒ぎは益々拡大の様相を見せている。
慰安婦問題をまた米国で蒸し返し、天皇侮辱発言までした文氏の行為は厳しく指弾されねばならない。
しかしより重大なのは、そもそも文氏が何のために訪米したかである。その主目的は、27日からの米朝首脳会談を控え、ナンシー・ペロシ下院議長ら米側要人に、北朝鮮に対する制裁緩和を訴えることであった。
▲写真 ナンシー・ペロシ下院議長 出典:Facebook; House Speaker Nancy Pelosi
日本の政治家らが、何よりも危機感を持って対処すべきは、韓国側のこの動きのはずである。ところが日本の国会はどこまでも本質を見失っているようだ。
米国の政治家からは動きが出ている。2月11日付で、テッド・クルーズ(共和党)、ボブ・メネンデス(民主党)の有力上院議員2人が、韓国の対北宥和政策を批判し、対韓制裁を考えるべき旨を記したポンペオ国務長官宛の書簡を公開した。2人ともキューバ難民の子弟で、北朝鮮や中国の人権抑圧に厳しい姿勢を取ってきた。
▲写真 テッド・クルーズ上院議員 出典:Wikimedia Commons; Michael Vadon
この書簡を引用する形で、ワシントン・ポストのジョシュ・ロギン記者が、「議会が北朝鮮に関し、文在寅とトランプに警告を発す」(Congress sends a warning shot to Moon and Trump on North Korea)と題した機宜に適った記事を書いた(2月14日)。
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