ミャンマー、軍vs仏教徒戦闘激化
Japan In-depth / 2019年3月6日 8時48分
■ AA側は偽装工作を全面否定
こうした軍の発表に対しAAのモン・トゥ・カ報道官は「AAは自分たちの制服を着用してやるべきことをやっており、国軍兵士に偽装したことなどない」と全面的に否定している。
2月21日にはラカイン州で17歳の学生が政府軍兵士に身柄を拘束されて暴行を受けた後に解放される事件が起きている。また2月26日には同州ブティダウンに着任した新任の国軍幹部が新居に家具を搬入中に爆弾が爆発し、一緒にいた妻が死亡する事件も起きている。RFAによると家具を運んでいたトラックが途中で正体不明の6人に停車を求められて積み荷を検査されたとして、この際にパイプ爆弾が家具の中に隠蔽された可能性を示唆している。
さらにヤンゴンに拠点を置くオンラインニュースメディア「ミッツィマ・ニュース」によると、1月に少数派民族の3人が遺体で発見されたほか、2月27日にはミャンマー警察の警察官が乗った車列が地雷を踏んで爆発、待ち伏せしていたAA部隊と銃撃戦になる事案も起きるなど年明けとともにAA と政府軍の衝突、戦闘が急増しているという。
■ 偽装工作は軍の人権侵害の隠ぺいか
こうした事態に国軍側は「国軍兵士の制服を着たAAによる人権侵害事案」を強調することで、AA側に地域住民、国民ひいては国際社会の関心を向かせようとしているようである。しかしAA 側は「地元住民や市民団体はAA側が政府軍の偽装をする必要がないことを熟知している。なぜなら多数派仏教徒の住民はAAを支持しているからだ」との見解を示している。
AA側は「国軍の制服を着た偽装工作」があくまで国軍側の「責任転嫁」に過ぎないとみており、人権侵害事案は政府軍兵士の制服や記章で偽装したAAの仕業と見せかける「陰謀」に過ぎず、逆に政府軍による残虐な行為を示すものとの見方を示している。
■ ラカイン州で国軍は2正面作戦
ラカイン州ではロヒンギャ族の武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」も政府軍との間で戦闘を継続しており、政府軍は同州では少数イスラム教徒の武装勢力とともにミャンマー全体では多数派ではあるもののラカイン州の自治権拡大を求めて政府と対立する仏教徒の武装勢力であるAAと2正面作戦を強いられている。
▲写真 ミャンマー国軍と戦闘を続けるロヒンギャ族の武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」 出典:ARSA twitter
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