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米朝首脳会談と拉致問題

Japan In-depth / 2019年3月7日 0時0分

米朝首脳会談と拉致問題


島田洋一(福井県立大学教授)


「島田洋一の国際政治力」


【まとめ】


・米朝首脳会談、北朝鮮の要求蹴ったトランプ氏の対応は正しかった。


・トランプ氏が金正恩に直接拉致問題の重要性伝えたこと大いに評価。


・「政治犯の釈放」は、ある体制が真に「改革」に向かったかどうかを判断する指標となる。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44535でお読み下さい。】


 


決裂に終わった第2回米朝首脳会談について、米議会は超党派で、北朝鮮の法外な要求を蹴ったトランプ大統領の対応は正しかったと評価している。北の戦略ミスは明らかだろう。


ただし、野党民主党や民主党支持色の強い米主流メディアは、十分な事前調整なく甘い見通しで非人道的な独裁者と会い、いたずらに米国の理念と権威を傷つけたという意味で会談を「失敗」(failure)と形容する姿勢で一致している。


しかし少なくとも日本の立場からすれば、トランプ氏が安易な制裁緩和を拒否し、「経済発展を望むなら日本からの投資が不可欠で、そのためには拉致問題を解決せねばならない」との趣旨を複数回にわたって金正恩に直接伝えてくれたことは大いに評価できる。


民主党が下院の多数を握ったこともあり、トランプ氏は根拠なきロシアゲート疑惑でハラスメントを受け続けている。日本政府は、約束通り拉致問題を取り上げてくれたことに強く感謝する旨を、もっとアメリカ向けに発信すべきではないか。


保守ハードライナーが次々要職を去る中、対北宥和政策に転落していったブッシュ長男政権にあって、最後まで制裁緩和に反対したチェイニー副大統領は、後の回顧録でこう述べている。



▲写真 ディック・チェイニー氏、ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領を務めた 出典:アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁HP


「将来の指導者にとってよいモデルは、ゴルバチョフとの1986年レイキャビク首脳会談におけるロナルド・レーガンのアプローチだ。彼は、得られるものなら何でも得たいと焦るようなことはなかった。ミサイル防衛に関するアメリカの権利で譲歩せず、ソ連側がその点を認めようとしなかった時点で、会談を打ち切った」


一歩一歩妥協する以外にどういう道があるのかという宥和派の反論に対しチェイニーは、「彼らが約束を守るよう主張し続ける」、「守らなければ締め付けを強めるという道を外れないのが答だ」と述べている。正しい発想だろう。


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