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米vs北朝鮮 勝者はどっち?

Japan In-depth / 2019年3月7日 18時0分

背景にはビジネスマンのトランプ氏の米韓合同軍事演習への不満が大きい。ハノイの記者会見でも「軍事演習は私がかなり以前に放棄した」といい、その後もツイッターで「韓国との軍事演習を望まないのは返してもらえない数億㌦を惜しむためだ」と繰り返している。そもそも米国は韓国文在寅政権に不信感を募らせており、トランプ氏は北朝鮮を代弁するためスリよってくる文在寅氏を各国首脳のなかで最も嫌っている。



▲写真 文在寅大統領 第二回米朝首脳会談の直後、トランプ氏と電話会談を行った 出典:The Republic of Korea / Cheong Wa Dae


 


在韓米軍司令官のエイブラムス司令官は、米韓合同演習を維持すべきとの立場で知られた人物だが、今年になって態度を変化させて注目されていた。ホワイトハウスの指示であったとの見方が強く、トランプ氏の意向だったとみられている。だが、これが合理的な判断なのかは疑問が残る。



▲写真 ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官 出典:United States Forces Korea(在韓米軍)HP


 


昨年6月のシンガポール会談後に中止された米韓合同軍事演習は、北朝鮮の核廃棄への誘導手段という説明が付いた。しかし、ハノイ会談では、北朝鮮に非核化の意志がないことがより明確になった。中止されていた演習を復活して圧力に使うとの判断も当然あったはずだが、米韓両国とも「残る演習もおしまい」にした。トランプ氏の「軍事演習はカネがかかる」発言を内心で喜んでいるのが文在寅大統領だろう。米韓同盟はどんどん弛緩している。


一方、トランプ政権は北朝鮮の金正恩体制も無論、全く信用していない。2017年9月の国連総会で、金正恩氏を「リトル(ちび)ロケットマン」と呼び、「アメリカと同盟国を守ることを迫られれば北朝鮮を完全に破壊する以外の選択肢はない」と恫喝したのはトランプ氏である。


 


■ 金正日は何を失った?


金正恩氏は干からびたサラミのような「寧辺核施設」をトランプ大統領に一蹴されたが、それなりの見返りも手にして帰国した。会談の継続の約束や在韓米軍による米韓合同演習の3つの大規模演習(フォール・イーグル、キー・リゾルブ、フリーダム・ガーディアン)の中止のほか、米韓連合軍の即応体制低下、非核化の長期化、北朝鮮核保有のさらなる存在感、この間の金正恩氏の安全の保証なども確実にした。当面は秘密核施設で高濃縮ウラニウム製造を続けながら、軍事演習の心配はせずとも済むわけだ。ボルトン補佐官は米メディアに「北朝鮮は状況を再評価する時間が必要だろう」と語っており、米国も早期の再会談は困難な状況と認識、冷却と停滞の期間が容認された格好だ。


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