米朝関係、何でも起こりうる
Japan In-depth / 2019年3月14日 0時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019 #11」
2019年3月11-17日
【まとめ】
・今後の米朝関係は何が起こっても不思議ではない。
・「反中」と言われるSバノン元首席戦略官の本質とは。
・習主席の発言から見て取れる、中国・貧困地域に山積する問題。
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先週末泊りがけで24時間、キヤノングローバル戦略研究所が政策シミュレーションを実施した。今回のお題は「インド太平洋は新しい戦略空間になるか?」という実にマニアックなもの。インド洋のスリランカ、モルディブだけでなく、アンダマン諸島やココ諸島といった専門家しか知らないような地名が乱れ飛ぶ珍しいゲームとなった。
同シミュレーションの総括は今週のJapan Timesと産経新聞にそれぞれ書いたので関心があれば一読願いたい。2009年に設立されたキヤノングローバル戦略研究所は今年が創立10周年、今回のシミュレーションも第30回目という節目になった。よくぞ30回もできたものだ。ご参加・ご支援くださった皆様には心から御礼申し上げる。
先週あれほど大騒ぎだった北朝鮮問題も、今週ばかりは静かだった。外交実務を経験した筆者から見れば、今回の米朝交渉は全てが異例だ。仮に今回決裂していなくても、いずれ一度は決裂する運命にあったと考える。普通なら相当の冷却期間が必要なのだろうが、何しろ相手はトランプと金正恩だからAnything goes!だ。
トランプ氏といえば、先日共同通信のご好意でSバノン元ホワイトハウス首席戦略官に会えた。大テーブルでの食事会でじっくり話せなかったが、とにかく頭の良い思想家・革命家だと感じた。彼の「反中国」「経済ナショナリスト」「ポピュリスト」的基本姿勢は今も全くブレていない。その意味で、やはり彼は「政治家」ではないのだろう。
▲写真 スティーブン・バノン氏 出典:Flickr; Michael Vadon
彼の中国に対する警戒感は実に強烈だから、日本の保守層にファンが多いのかもしれない。だが、彼の本質は単なる「反中」ではない。彼が「反中」である理由を正確に理解しないと、日本の反中派・嫌中派はSバノンを読み誤ることになる。2020年の米大統領選挙で彼は何をするのか、しないのか。彼の真価が問われるのはその時だ。
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