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新種オランウータン生息地に中国ダム建設

Japan In-depth / 2019年3月15日 23時0分

3月4日にメダンの州裁判所は「ダム建設計画に関する全ての書類は問題なく、必要な許認可も得ており、建設を中止する合理的理由はない。オランウータンのエコシステムへの影響も訴えにあるほど深刻ではなく、配慮がなされている」などと訴えを却下する判断を下したのだった。


「ワルヒ」はジョコ・ウィドド大統領にも書簡を送ってオランウータン生息地の保護を強く訴えているが、政府はこれまで保護に動こうとしていないという。このため「ワルヒ」ではさらなる上級裁判所に改めて提訴するとともにありとあらゆる法的手段を駆使して計画を阻止したい、と国際社会に支援の輪を広げようとしている。


「バタントルダム」の計画、設計を担当する中国水力発電会社と建設を請け負うインドネシア企業などでは「ダム湖を建設する方式ではなく、河川の水を直接発電所に取り込む方式を採用するため、タパヌリ・オランウータンのエコシステムはもちろん、周辺の環境への影響も最小限に留まる」と環境に配慮した建設計画であることを強調、理解を求めている。


計画では「バタントルダム」は2020年の完成を目指し、510メガワット規模の発電量で周辺地域の電力需要を賄う計画という。


環境森林省の担当者も「政府独自の調査と情報収集でタパヌリ・オランウータンの生息地域への影響や懸念がほとんどないことを確認している」として裁判所の判断を支持する方針を示している。



▲写真 バタントルダム 出典:The Batang Toru Ecosystem Homepage


 


■ 地殻構造、広大な開発地域も問題と指摘


「ワルヒ」によると、「バタントルダム」建設では水力発電所、ダムなどで67.7ヘクタールが開発されるとの開発業者の試算に対し、「ダムまでの取り付け道路やトンネル、関連施設やインフラ整備などで約600ヘクタールの範囲に渡って環境破壊が懸念される」としている。


さらにダム建設予定地の地下に将来地震が発生する可能性のある地殻構造が存在していることも「ワルヒ」は指摘して、ダムの危険性も訴えている。もっとも裁判所は「そうした地下構造の上に構造物の建設を禁止する法律はない」として建設中止要求を突っぱねた。


インドネシアでは首都ジャカルタからバンドンに向かう高速鉄道網計画も中国企業が受注したものの、当初の開業予定が大きく遅れるなど中国企業が関係したインフラ整備や大規模事業で様々な問題が生じている。


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