薬物問題 回復への道 高知東生氏
Japan In-depth / 2019年3月21日 19時0分
・薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと
テレビのワイドショー等に出演する「コメンテーター」は、薬物依存という健康問題の回復支援の専門家ではないため、彼らの発言の多くは事実と乖離している、とした上で田中氏は、「何の権利があって言っているのか。」と批判した。安倍編集長も、「これはメディアリンチと言ってもいいのではないか。」と述べ、SNSの登場で個人の発信が容易になり、メディアがそれに乗っかって大衆受けするコンテンツを拡大再生産している実態に対し懸念を示した。
高知氏は、「『再犯』という言葉は勘弁してほしい。」とふり絞るように語った。一度薬物に手を染めた人間、特に50歳以上の人の再犯率は高い、などという言説がメディア上に流れたため、折角サポートをしようとしてくれた人たちが離れて行ってしまったという辛い経験をしたという。それを聞いた安倍編集長は、「(メディアが)立ち直ろうとしている人たちを追い詰めることはすべきではない。これから治療をし、回復して社会人としてまっとうに生きて行こうと思っている人の道を閉ざす権利は誰にもない。」とメディアの影響力を指摘した。田中氏も、「社会復帰して働いてもらって社会貢献した方が、私たちのためにもなる。なぜ受け入れられないのか。」と、疑問を呈した。
田中氏らは、このガイドラインについて、地道に周知活動を続けているが、一部テレビなどでは、相変わらず薬物使用者に対し直接的バッシングが見受けられる。「新たに出会った、支えてくれている人たちをもう裏切りたくない。」高知氏は真摯な面持ちでこう話す。依存症は孤立の病ともいわれる。メディアは彼のような、回復への努力を続けている人たちやその支援者の足を引っ張る存在であってはならない。
最後に松本氏は、「『捕まる前に助けを求めて』というメッセージを流してほしい。」とメディアに求めた。
薬物、アルコール、ギャンブルなどの依存症は病気であり、回復が可能だ。難しいかもしれないが、抱え込むのではなく、専門機関に足を運んでほしい。
(本記事は、2019年3月20日放送のJapan In-depthチャンネルの放送内容を要約したものです。)
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