イギリスの日本人留学生~ロンドンで迎えた平成~その3
Japan In-depth / 2019年3月30日 11時0分
音楽好きの読者には説明不要だろうが、ビートルズのアルバムのタイトルになっていて、そのアルバムのジャケット写真が、この通りの横断歩道を一列で渡っているスナップ写真なのだ。
ロンドン北部の、とりたてて特色もない住宅街なのだが、たまたまここの録音スタジオで製作されたことから、アルバムのタイトルになったので、世界的に有名な通りとなってしまった。
▲写真 アビー・ロード 出典:pixabay; Skitterphoto
私は『小さな恋のメロディ』という映画もビートルズの楽曲も大好きではあるけれど、彼らのように「聖地巡礼」をしたいと思うほどではない。
ウェンブリー・スタジアムのすぐ近くに2年近く住んでいたが、これは、たまたまちょうどよい物件がそこにあったというだけの話で、私がサッカー者であることと関わりはない。むしろ、近所で乱闘騒ぎが起きたり、英国人ファンのマナーの悪さに辟易していた。
このように、ロンドンにやってくる日本人は、必ずしも英語の習得それ自体を第一目標とはしないケースが昔から多いのだが、それも、好意的に解釈すれば、ロンドンという街が持つ魅力ゆえなのかも知れない。
なので私は、どのような動機でもってロンドン留学を決意しようが構わない、と思っているが、昭和末期のバブルの頃には、それ以前には考えにくかった現象が色々と起きていた。
好景気を背景に、留学生の数が一挙に増えた、という話はまえにさせていただいたが、日本企業の英国進出ラッシュにともなって、家族ぐるみで赴任してくる駐在員も増え、つまりは自分の意志でなくロンドンで暮らすことになった、という人も増えたのである。
バブルの話をさせていただいた際に、日本人専用の英語学校がロンドンで開校した、という珍現象を紹介したが、これも結局、自ら英語習得を志して来たわけではない、という人が増えた結果に他ならない。
最近の若い日本人が、あまり海外に留学したがらなくなった、と言われるが、これは、
① もともと英語習得にそこまで熱心な日本人ばかりではなかった。つまりは底の浅いブームに過ぎなかった。
② 英米であれヨーロッパ大陸諸国であれ、治安の悪さが喧伝される。
③ インターネットで海外の情報も簡単に知ることができる。
……といった複合的な理由だと思われる。
そうかと思えば、こんな現象もあった。
ロンドン西部の公立小学校に、たった一人の日本人児童が転校した、と思っていただきたい。少し前だったら、いじめられるとか、そういう話になりがちなケースなのだが、この子はなんと、学校中のヒーローになった。
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