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「黄色いベスト運動」の人々(下)

Japan In-depth / 2019年3月30日 23時0分

最初はルーアンの弁護士会との橋渡しをするために力になれればぐらいに思っていたが、いつしか共に活動を行うようになったのだ。その頭脳明晰さで語る内容もかなり理路整然としており、早口でまくたてる話はその詰め込まれている内容の量も多く、聞いているだけでも圧倒される。

ブーロ氏は言う。「税金のかけられ方が不平等なのです。かけるべき人には税金が十分にかけられおらず、公共サービスの恩恵も十分に受けられない人たちに、公共サービスが十分に受けられる人たちと同様な税金がかけられている。富裕税は富を持つ人がいなくなるという問題点を張らんていることについてもいろいろ知識を集めているところですが、そういった問題があることも踏まえ、もっと平等に税率をかけることが大切なのです。」

「確かに、現在の黄色いベストへの支持率は55%だが、始まった当初は75%が黄色いベストを支持していた。暴徒が現れ破壊行為がなかったら、この数字は下がることはなかったはずだ。そして暴力行為に対しては私自身も反対だし、反対する人は支持をしなくなったが、暴力行為が収まればまた支持率があがるはずです。」

「いったい誰が国民討論会なんかして欲しいといったのですか。5人に一人が参加したって?そんなものは、マクロンに投票するような社会的に地位が高い人だけが参加しただけだ。黄色いベストに参加している人々の意見は収集されていない。我々の要求はとてもシンプルなんだ。格差を無くせ。人々が貧困にあえぐことのない社会システムに再構築しろ。そのためにも、国が法律を決める時に意見を言う道筋を作れ。4カ月続いた運動だが、そのことに回答が得られていない以上、これから4カ月後ももっと続くでしょう。第一あまり天候のいい時期に始めなかったがあれだけ人が集まったのです。これからもっと天気がよくなればもっと人は外に出てくるでしょう。」とブーロ氏は主張する。

ブーロ氏がこれからも黄色いベスト運動が続くと言うのは、あながち希望的観測ではないかもしれない。なぜなら黄色いベスト運動に参加する人たちの思いは、ブラックブロックのように便乗している破壊者や、その他の活動家、そしてメディアの思惑などのいろいろな雑音に消されてしまい、まだ何も届いていないように見えるからだ。

困窮している人々がいるにもかかわらず手を貸すこともなく、困窮しているからなんとかして欲しいと立ち上がってもなぜそんなに怒っているのかわからないと言う人々に、黄色いベストたちは憤りを感じている。今まで苦しい生活を送っているにもかかわらず、誰にも相手にされず、救いの手もない状況で孤独に耐えてきた。しかし、現在はみんなで励まし合う環境もでき、変えるべき状況を訴えていく活動を協力してできるようになった。理解してもらい、何らかの解決策が生まれない限り辞める理由が見つからない。

すでに、3月30日はボルドー、4月13日はトゥルーズ、4月20日はパリで集まることが決まっているという。黄色いベスト運動は、彼らが納得いく回答が得られるまで続いていく。そして現状では終息されることはなさそうだ。

(上の続き。全2回)

トップ写真:黄色いベスト運動(2019年)出典:Wikimedia Commons; Norbu Gyachung

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