愛娘イヴァンカの婿その評判 トランプ政権「行く人来る人」列伝5
Japan In-depth / 2019年4月9日 0時8分
このビルのローン返済期限が迫ってあわや破産という事態にに追い込まれた際、カタールのハマド・ジャーシム・アル・サーニー前首相や、中国の安邦保険会社に出資を依頼するも断られている。その後、世界中に不動産ネットワークを持つブルックフィールド・グループが借金のほとんどを肩代わりする形で経営に参加したが、ここもカタール資本が多く入っている。
ジャレッドとイヴァンカは2007年に共通の知り合いを通して出会った。何かいっしょにビジネスでもやったらという提案に、恋人として付き合う関係になったわけだが、ジャレッドはユダヤ人であり、結婚を考えるにはイヴァンカの改宗が必須だったためいったん別れている。2009年によりを戻し、5.22カラットのダイヤの指輪を贈られ結婚、3人の子供を授かっている。子供たちに中国語を習わせており、流暢に喋れるのが祖父ドナルドの自慢の種だ。
不動産だけでは飽き足らず、クシュナーが次に目指したのはメディア王だったのだろうか、2006年に「ニューヨーク・オブザーバー」という週刊紙を買収している。この新聞は1987年創刊、発行部数こそ多くはなかったが、ニューヨークの主要産業である金融、メディア、政治、エンタメ産業の情報に強く、影響力もあった。だが、当時まだ25歳だったクシュナーは、自分がおもねりたい人物の提灯記事を書かせたり、都合の悪い報道記事を差し押さえては編集スタッフに煙たがられていた。
ベテランのピーター・キャプラン編集長が2009年に辞めてからは後続が続かず、2016年にはとうとうオンライン版だけになってしまった。2012年にはメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースを買収しようとしたところも、岳父がアメフトのバッファロー・ビルズを買おうとして失敗したエピソードとそっくりだ。
クシュナーは岳父のドナルド・トランプが大統領になれば、それを利用してさらに儲けられると考えたのか、表向きには事業から手を引くと見せかけてホワイトハウスに居座り、自分の立場に反対意見を唱えるスタッフを次々と失墜させてきた。
例えば、トランプに政治関係の人脈が乏しいのを見抜き、内閣の人材を確保するために奔走したのは、共和党の大統領候補予選ではライバルでもあったニュージャージーのクリス・クリスティー前知事だが、実は彼こそが父チャールズを起訴した検察長官だったことを忘れていなかったジャレッドは、トランプに進言してクリスティーを解雇させている。
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