ノートルダム火災、寄付続々
Japan In-depth / 2019年4月17日 13時0分
その結果、無事に2つの巨大な鐘楼と「バラ窓」を守りきり、イエス・キリストが十字架刑に処される際にかぶっていたとされる聖遺物「いばらの冠」や、列聖された13世紀の国王ルイ9世が着用していたチュニックも無事だった。中世から使っている部品もあると言うパイプオルガンも多少の心配はあるものの救ったと言う。これにより、一般の観光客が目にする大半の部分は守りきれたと言ってもいいだろう。
▲写真 バラ窓 出典:Pixabay
しかしながら、失った尖塔は帰ってこない。石造りだと思われていたノートルダムが、なぜあれほどまでに大きな炎に包まれよく燃えたかと言うと、それは、屋根の梁(はり)や尖塔は木材で作られていたからだ。12世紀~13世紀につくられたこの部分は「森」と呼ばれていた。伐採されたオーク材がなんと1300本も使われて形成されていた部分であり、これだけの木材を調達するには21ヘクタール分の木が使用され、それは一つの森を消滅させるほどだったからだ。このように古い材木が多く使われているため、日常では火災を防ぐため電気を一切通さないようになど細心の注意がなされていたが、修復作業と言う非日常的なことも影響したのかもしれない。出火の原因は不明ではあるが、火元はこの「森」の中であることは間違いないそうだ。
しかし、今回の火災の被害は、材木のほとんどを失なった尖塔と屋根であるが、修復しようと思っても、今の時代、これだけの資材は調達できないであろうと言われている。各所のノートルダムの修復に携わった建築家はこうコメントする。
「現時点で、何をどう修復できるかわからない。今言えることは、歴史的価値としても、ノートルダムがそこに存在することを大切に思っている人たちのためにも、どのように存続させるかに集中するのみだ。そのために、その方法や材料が変わってくることも視野に入れなくてはならない。」
▲写真 いばらの冠 出典:Gavigan
完全な再建には数十年を要すると言われているとはいえ、いつか再建はできることは間違いないが、材料や手法は今までとはまったく同じとはいかないのだ。しかしながら856年続いたノートルダムを、これからの未来にも存続させていく。その決意は固く、そのためには今できうる最善の努力を行っていくのみである。マクロン大統領も、即座に現場におもむき、「最悪の事態はまぬがれた」とし、「共に再建しよう。今後何年もの間、フランスにとって重要なプロジェクトになるだろう」と呼びかけた。
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