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福島の発展に必要な教育投資

Japan In-depth / 2019年4月19日 18時0分

国立大学で医学部の存在は別格だ。予算が多い。現在、国立の単科医科大学は東京医科歯科大、旭川医大、浜松医大、滋賀医大の4つが存在するが、運営費交付金はそれぞれ132億円、52億円、57億円、55億円だ(いずれも2016年度)。医学部がない総合大学を上回ることもある。前出の7県のうち奈良を除く6県には、医学部のない総合大学が存在するが、それぞれが受け取った運営費交付金は和歌山大38億円、横浜国大79億円、埼玉大60億円、宇都宮大56億円、福島大35億円、岩手大68億円。



▲図2


図2は都道府県別の15-19才人口一人あたりに換算した地元の国立大学が受け取る運営費交付金だ。トップは京都で49万9491円で、徳島46万6773円、宮城42万7621円、鳥取39万9682円、石川36万1402円と続く。


一方、もっとも少ないのは埼玉で1万7231円。ついで神奈川2万2412円、福島3万7812円だ。下位の3県には国立大学の医学部が存在しない。トップの京都と埼玉では29倍、福島では13倍の差がある。国立大学が国税によって運用されていることを考慮すれば、実に不公平だ。


詳述はしないが、私立大学などへの助成金を加味しても、東京が9位から2位に順位をあげる以外は状況は変わらない(図3)。私学助成金の総額は国立大学の運営費交付金の3割程度に過ぎず、大勢に影響しない。都道府県が受け取る大学予算は国立大学医学部の有無に左右される。



▲図3


余談だが、カネは力を生む。2016年度、医学部を有する38の国立総合大学(東京医科歯科大学など4つの医科系単科大学は除く)のうち、24の大学で医学部出身者が学長を務めていた。医学部の存在が如何に大きいかご理解頂けるだろう。


話を戻そう。国立大学医学部には巨額の税金が投入されるため、その有無は地域の人材育成力に影響する。それは、運営費交付金の多くは、大学の教職員の人件費に充てられるからだ。地元のエリート層を国の税金で養っていることになる。彼らはイノベーションの担い手だ。



▲写真 京都大学 出典:京都大学facebook


県民ひとりあたりの大学予算がもっとも多いのは京都だ。京都がグローバル化時代に急成長しているのは、観光資源が豊富という理由だけではない。知的人材の層が厚いからだ。


関西企業の時価総額ランキングでは上位陣を京都発の企業が占める。2位日本電産4兆1,814億円、3位任天堂4兆1,554億円、5位村田製作所3兆7,250億円、6位京セラ2兆4,545億円だ(日本経済新聞3月30日、「専門性高い企業が上位に 関西企業の時価総額ランキング、30年で変化」)。


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