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金正恩首脳外交でサラミ戦術

Japan In-depth / 2019年4月23日 11時0分

ポンぺオ氏は何事もなかったように、「私が引き続き交渉を担当する」と排除要求を一蹴した。北朝鮮は、これら刺激的な挑発で非核化の具体策に集中している米朝協議の焦点を誤魔化そうとしているようだ。小ネタをばら撒いてあたかもイシューが多数あるように錯覚させて外交関係の複雑化を狙う、いわば外交のサラミ戦術だ。


ハノイ会談以来、北朝鮮はほぼ1か月間、沈黙した。4月中旬の最高人民会議等の中枢人事で金正恩体制の立て直しを図り、出てきたのが米高官への中傷と初の露朝首脳会談、さらに中国・習近平国家主席への再接近だった。韓国には冷淡になり南北交流を遮断した。文在寅政権に「民族を取るのか、同盟を取るのか」と迫っている。



▲写真 文在寅大統領 出典:ロシア大統領府


中露首脳会談を前に、北朝鮮はロシアには支援要求リストを送ったとされる。ロシアに派遣している外貨稼ぎの北朝鮮労働者約1万人は国連制裁の対象であるため、今年末にビザが切れると帰国を迫られる見通しだが、北朝鮮はロシア側に長期滞在ビザを要求しているとみられる。このほかロシアが提供している石油の追加支援を求めているとされる。一方、中国には金正恩が4月17日、習近平に親書を送ったと朝鮮中央通信が明らかにした。習近平が金正恩に送った国務委員長再任の祝電の返信という形で、今年が中朝国交樹立70周年であることから「中朝関係を新たな高い段階に発展させるため努力の限りを尽くす」と表明した。非核化を棚上げし、中露に反米連帯へのシンパシーを送り、韓国を翻弄してトランプ政権の終わりをまとうとの魂胆だ。


 


■ 孤立した韓国文在寅政権


金正恩氏はハノイで大失態、文在寅氏はワシントンで完全に面目を失った。北も南もノーディールである。米韓首脳会談で文大統領は、米国と北朝鮮が包括的な非核化に合意したうえで北朝鮮が寧辺核施設と一部の重要施設を廃棄する動きをみせれば、米国も相応の制裁緩和を段階的に行う「グッド・イナフ・ディール」を説明した。だが、トランプ大統領は「いまはビッグ・ディールについて話している」と全く取り合わなかった。



▲写真 第2回米朝首脳会談 出典:Flickr; The White House


韓国は北朝鮮から相手にされなくなった。米韓首脳会談以前から北朝鮮は「韓国は米国の同盟国であるためプレイヤーであって仲介者ではない」(崔次官)と韓国に引導を渡していた。米国の在野からは米韓関係を憂慮する声が大きくなり、南北だけでなく日韓も最悪であることから韓国外交は危機的だ。さらに北朝鮮が中露に密着したことで韓国は孤立した。


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