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宮古島に弾薬庫は必要なのか

Japan In-depth / 2019年4月30日 18時0分

つまり必要な弾薬保管量はさほどでもない。警備隊の趣旨からすれば武器は機関銃と小銃で十分である。しかも中隊規模だ。必要な小銃弾数も限定的だ。数的には庁舎への弾薬ロッカー設置で代替できる。今なら知事承認で1棹で5000発まで保管できる。駐屯地所在部隊や編制にあわせてロッカーを4棹準備すれば2万発まで準備できるのだ。


これは他基地で実施した例がある。普通の事務用鋼製ロッカーで承認を受け、当時の上限2000発を保管した例だ。なお筆者はその知事認定を担当したが、その際には調整先から「警察署はそうしている」と言われた。


 


■ 緊迫時:所要を満たせない


逆に、緊迫時においては弾薬庫は所要を満たせない。宮古島は地積が狭く土地利用が進んでいる。設置できる弾薬庫の能力は成約される。そのため本格的展開に伴う大量の弾薬は保管できない。


例えば対中戦に備える状況だ。対中緊張の段階となれば宮古島ほかに本格的戦力が配置される。繰り返すが上陸侵攻の可能性はほぼない。だが空襲や艦砲射撃への警戒や中国海軍の活動を掣肘(せいちゅう)する必要は生まれる。その際には本格的な対空ミサイルや対艦ミサイルは展開する。


だが、その際には宮古島弾薬庫の収容能力では対応できなくなる。ミサイルの予備弾やミサイル部隊を防護するための弾薬は収容しきれない。少なくない弾薬は一般の倉庫や車庫での保管、あるいは上屋の下や露天での野積となる。


これは法的安全距離の制約による。火薬類の貯蔵量は保安距離の制限も受ける。宮古島ではその安全距離があまりとれない。弾薬庫と周辺住宅・交通路との間に確保できる距離は短い。だから貯蔵量は小さくなる。仮に施設として爆薬換算量25トンの弾薬庫を作ったとしても意味はない。保安距離が短ければ2トンも入れられない。


これも弾薬庫整備が必須ではない理由である。



▲写真 練馬駐屯地弾薬庫:弾薬庫の能力は保安距離の影響も受ける。例えば練馬駐屯地の場合、市街地の中にあり住宅・道路と隣接している。1棟あたりの上限貯蔵量は換爆量で100kgだろう。 出典:グーグルマップから入手した写真を筆者加工


 


■ 戦時:弾薬庫は使用しない


そして戦時は弾薬庫はほぼ無用となる。宮古島の場合、戦争が始まれば弾薬庫は使わない。砲爆撃を受ける可能性は大きい。そのリスクから弾薬は島内各地に分散される。


弾薬庫は脆弱かつ周知である。構造はあくまでも爆発事故が起きた際の被害限定を目的としている。砲爆撃に耐える力はない。配置場所も公表される。そもそも位置は空中写真等で一目瞭然である。


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