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宮古島に弾薬庫は必要なのか

Japan In-depth / 2019年4月30日 18時0分

だから戦闘区域では弾薬庫に弾薬は置かない。先島諸島は中国に間近い。戦時には攻撃を受ける可能性は高い。そう判断する。そして弾薬を島内各地に分散配置する。戦闘被害を局限するため地下や半地下に収容され厳重な擬装隠蔽が施される。



▲写真 半地下と擬装:戦時あるいは開戦必至となれば弾薬は発射武器を含めて地下や半地下に分散収容される。その際には弾薬庫どころか駐屯地も空になる。 出典:陸自11旅団HPの「隊の活動状況」「平成26年度旅団防御演習」から 「火砲掩体築城中」


つまり戦時に弾薬庫は使わない。本来は平時や安全な後方で利用する施設である。機能も保安・管理用なのだ。


この点でも弾薬庫は必須ではない。戦時の所要を考慮すればむしろ不要である。


 


■ 周辺住民との対立は回避すべき


平時、緊張時、戦時において弾薬庫は必須ではない。そういうことだ。


その程度の弾薬庫を住民と対立してまで整備すべきだろうか?少なくとも嘘をついてまで作る必要はない。


作るなら地元との合意形成がなった後だ。地元にとって弾薬庫は厄介施設そのものである。反対にも充分な道理はあり配慮は求められる。仮に反対派を押し切るにしてもその意見を聞き、懸念に対し設計や運用でなんらかの配慮しなければならない。当然だが、その際には最低でも自治体としての理解を得る必要はある。


そうしなければ円滑利用は期待できない。輸送や港湾利用を含む段階で各種の協力は得られない。例えば一々に交渉しなければ市道や県道の利用ができない事態も生じる。


無理をすれば妨害側に弾薬庫機能を阻害される可能性もある。弾薬庫は保安距離内に家屋等の保安物件を建てられれば終わる。既存弾薬庫でも保管量は減らされる。


横須賀にあった大矢部弾庫は保安距離問題で機能を喪失した例だ。民間の土地開発により弾庫の至近距離に建物を作られた。結果、保管上限は換爆量25トンから0.2トンに激減し機能を失った。砲弾やミサイルの保管は不可能となり末期は無炸薬の20ミリ機関砲弾しか収容できなくなった。そのため廃止された。



▲写真 大矢部弾庫:大矢部弾薬庫は保安距離規定がクリアできないため廃止された。トンネル式火薬庫の直上にマンションが建設された結果、換爆量が0.2トンに激減した。無理な弾薬庫建設を進めれば対抗策として意図して保安距離を削減する動きも出てくるだろう。 出典:グーグルマップから入手した写真を筆者加工


この点でも今のやり方はよくない。弾薬庫は作ってしまえば勝ちではない。防衛省や現内閣の力で押し切る発想は通用しない。


 


トップ写真:宮古警備隊:宮古警備隊の編制と大臣による隊旗授与。弾薬庫の配置とミサイルの収容が問題となっている。出典;防衛省「岩屋防衛大臣の動静」「2019(平成31)年4月」より。


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