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令和初の憲法記念日に考える

Japan In-depth / 2019年5月3日 7時0分

ケーディス氏によれば、起草は都内の各大学図書館から他の諸国の憲法内容を集めることから始まり、後にマッカーサー・ノートと呼ばれる黄色の用紙に殴り書きされた天皇の地位や戦争の放棄など簡単な基本指針だけが手がかりだった。


「私自身が書くことになった第9条の目的は日本を永久に非武装にしておくことでした。しかも上司からのノートでは戦争の放棄は『自国の安全保障のためでも』となっていました。この部分は私の一存で削りました。どの国も固有の自衛の権利は有しているからです」


ケーディス氏は後に日本側から「芦田修正案」が出されたときも、同氏の判断だけでOKを与えたという。この修正案は9条の第2項の冒頭に「前項の目的を達するため」という字句を挿入することで、固有の自衛権を認め、自衛隊保持の根拠を供した。


憲法草案のこうした枢要な部分は上司のホイットニー民政局長やマッカーサー元帥の承認を事後に得てはいるが、ケーディス氏の判断だけでもすんだというのだった。


こうした特徴のケーディス氏の述懐はその主要点をまとめると、以下のようだった。



・憲法草案の最大の目的は日本を永久に非武装にしておくことだった。


草案の指針は日本の自国防衛の権利までを否定する意図だったが、ケーディス氏の一存でその部分を削った。


・「天皇は日本国の象徴」という表現もアメリカ政府の事前の指示にはなく、ケーディス氏ら実務担当者が思いついた。


・第9条の発案者はマッカーサー元帥か、幣原喜重郎首相か、天皇か、あるいは他のだれかなのか、ケーディス氏にはわからないままである。


・アメリカ側は日本政府が新憲法を受け入れない場合は国民投票にかけるという圧力をかけたが、日本側の受け入れには選択の余地はないとみていた。



以上の5点の特徴からも、いまの日本国憲法は日本の占領下に米軍によって書かれ、なおかつ押しつけられたことがあまりにも明白となる。しかも日本を永久に非武装にして自国の防衛の能力や意思をも奪おうとしたわけだ。戦後の日本は自国の防衛という主権行為の権利さえも制約された「半国家」にされたともいえるのである。要するにあまりにも異常な条件下で占領する側が一方的に作成した憲法なのだといえる。


この歴史の真実は現代の憲法論議でも当然、言及されるべきだろう。だが護憲派はとくに憲法の起源や由来を語ろうとはしない。均衡を欠いた取り組みである。令和の新時代の憲法論議ではぜひとももっと均衡のとれた枠組みを基本とすることを願いたい。



▲写真 2012年11月に出した著書『憲法が日本を亡ぼす』(海竜社)


トップ写真:「日本国憲法」の原本 出典:Wikimedia Commons


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