バヌアツ、ドローンでワクチン
Japan In-depth / 2019年5月3日 18時0分
1. 3℃に設定した温度維持
2. フライトの軌道
3. 5×5mに設定した目的地に着陸できるか
これらの試験をパスして、迎えたフェーズ2「実際のワクチンを使ったドローン輸送」エロマンゴ島、エピ島、ペンテコスト島の3つの離島で実施しました。
2018年12月最初に行ったのが、SWOOP AERO社のエロマンゴ島での試験。西部のディロンスベイを拠点にして、ここから5箇所の村へワクチン輸送を行いました。この会社のドローンは、機体の中にワクチンを入れて輸送する仕組みで、温度をキープしやすく、一度に子ども約50名分のワクチンを運ぶことができます。
ここで押さえておきたいのが、ドローンでの輸送では、到着場所に予防接種対象者を集めておき、ワクチン到着とともにすぐに接種できるということ。2℃から8度という温度管理が絶対のワクチンにおいて、スピードは欠かせない要素です。今まで、島の東部にあるクックス湾へはボートで2時間半かかっていたところ、ドローンでは20分で到着。そこには、13人の子供と5人の妊婦が待機していました。JOY NOWAIちゃん(当時生後1ヶ月)は、民間のドローンで届けたワクチンを接種した世界で最初の子供となりました。
続けて、SWOOPAERO社は、2019年2月から3月にかけてエピ島で、WING COPTER社は、ペンテコスト島でそれぞれ9週間の実験を行いました。WING COPTER社のドローンはワイヤーで荷物を吊し、目的地上空でそれを落とすタイプで子供約100名分のワクチンを輸送できるそうです。
フェーズ2でのポイントは
1. ドローンの飛行安全(他の飛行機とのトラブルや着地の安全)
2. 関係者が全てを把握してスムーズにワクチン接種までできるか
3. 村の住民が安心できるか(騒音や安全面)
現在、ちょうどここまでが終了したところです。
このあと、まだ、思案中ですが、フェーズ3として、「ワクチン以外の医薬品をドローンで運ぶ」実験も検討しているようです。このプロジェクトが本格始動できるかのポイントとなってくるのが、
1. 全てのスタッフも含めて、政府主導でプロジェクトを運営していけるか
2. 予算をどうするか
▲写真 村の臨時ワクチン接種場所 提供:UNICEF
フェーズ2までは、ドローン会社の人はもちろんですが、バヌアツ側はユニセフやJICAの隊員の方も一緒になってプロジェクトの取りまとめをしてきました。
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