対北朝鮮政策日米に齟齬なし
Japan In-depth / 2019年5月9日 8時30分
島田洋一(福井県立大学教授)
「島田洋一の国際政治力」
【まとめ】
・拉致問題で訪米。日米の対北朝鮮政策に齟齬がないこと再確認。
・大量破壊兵器・ミサイル全廃と、拉致含む人権問題改善を米要求。
・北は、核問題と拉致問題の同時解決を図るしかないと認識すべき。
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5月2日から5日まで、北朝鮮による拉致被害者家族会、救う会、拉致議連の合同訪米団の一員として米国の首都ワシントンを訪れた。政府から左藤章内閣府副大臣(拉致問題等担当)も参加して行動を共にし、政府拉致問題対策本部と在米日本大使館がサポートに当たった。
米政府関係では、スティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表やマット・ポッティンジャー国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長との面談が、特に具体的な形で有意義だった。
西岡力氏(救う会会長)と私(同副会長)とは4月29日から先乗りし、米国のシンクタンカーやトランプ政権に影響力のある人々と、本隊到着を前に様々に意見交換を行った。
報告すべきことは多いが、ここではまず日米における対北朝鮮政策の基本線が世上言われる以上に一致している点を指摘しておきたい。
▲写真 米朝首脳会談(2019年2月27日 ベトナム・ハノイ) 出典:The White House facebook
米朝首脳会談の内実に通じたある米政府高官は、決裂に終わった2月のハノイ会談において米側は2つの要求を明確にしたという。アメリカは「北の真の経済発展」(real economic growth)に全面協力する用意があるが、それには2つの前提条件がある。
①核・化学・生物にわたるすべての大量破壊兵器と運搬手段であるミサイルの全面廃棄
②人権問題が真剣な改善が見られること。その中には日本との拉致問題解決が含まれる
拉致問題については、トランプ大統領が最初に取り上げたとき、金正恩は話題を変えようと努め、直接に応答しなかった。しかし続く会合で再度トランプ氏が取り上げたところ、金正恩はもはや話題を逸らし続けるのは無理と判断した如く、以後、米朝の間で「実質的な会話」(substantial conversations)が続くことになった。
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