トランプ訴追逃れの独裁政治
Japan In-depth / 2019年5月14日 18時5分
大原ケイ(英語版権エージェント)
「アメリカ本音通信」
【まとめ】
・トランプ氏に迫りつつある脱税等の追求。
・何より嫌がっているのは納税歴の公開。
・トランプ氏、独裁路線にあこがれ。
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来月末のサミットの頃は、開催国の名前やその国の首相がまったくニュースにならない事態になるかもしれない。アメリカのドナルド・トランプ大統領がしかけた中国との貿易戦争が泥沼化し、相変わらずミサイルを飛ばしてくる北朝鮮非核化への交渉は続いているとウソをつき、日々ツィッターで野党のデモクラッツや自分の元を離れた側近を罵倒しているだろうからだ。
トランプが「違法移民の親子引き離し」「移民締め出し」「イランとの戦争」「楽勝予定の中国との貿易戦争」などとわかりやすいキーワードを並べ立てて、国内の目をそらそうとしているもの、それは自身の身に迫りつつある、脱税や司法妨害への追求だ。
黒塗りだらけのマラー報告書でトランプ自身の罪は問われることなく(そもそも司法省では大統領は何をやっても訴追の対象にならないことを前提に調査していた)、今やこのバトルは大統領府と議会という、三権分立された行政と立法の戦いに発展している。
トランプ政権は、今後米議会の各委員会の書類提出から証人喚問まで、すべての要求を却下すると息巻いている。本来はこういった手続きは速やかにすべて提出・出頭が義務付けられている。だが問題は、これまで立法機関にここまで真っ向から反対した行政機関がなかったため、いずれはもう一つの機関である司法の場で決着がつくことになろう。
▲写真 トランプタワー 出典:Pixabay; Quinn Kampschroer
中でもとりわけトランプが拒否反応を示しているのが納税歴の公開だ。大まかな過去の数字はニューヨーク・タイムズがすっぱ抜いたが、それによると1985年から1994年の間に11億7000万ドルの損失を出したという。表向きにはニューヨークの不動産や世界中のリゾート、カジノなどを買い漁り、いかにも羽振りがよさそうに見えた時期なのだが、実のところは台所は火の車で、銀行の借金を踏み倒し、請求書には難癖をつけて未払いで済ませてきた10年だったのだ。
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