「中高年引きこもり、復帰しやすい環境を」筑波大学斎藤環教授
Japan In-depth / 2019年5月17日 11時18分
斎藤教授は「ゲームやスマートフォン、パソコンなど、バーチャルなデバイスを使うことは、これから生きていく為のスキルとして必須」とした上で、「いかにバランスよく接していくか」が大事だとした。
更に「コミュニケーションというものを全体として包括的に捉えていくことが必要」だとも述べた。
これについてはスクールカーストを例に挙げ、「カースト上位の生徒を決定づける要因がコミュニケーションスキル」だという事実に言及。しかし子どもたちが考える“コミュ力”というものは子ども独自文化の中で測られるものであり、その偏った視点でのカースト形成によって「偏ったコミュニケーション能力が良いものとされてしまう。それは企業では通用しない」と懸念を示した。
これを改善する為の方法として、斎藤教授は「小学校中学校から、正当な意味でのコミュニケーションスキルを学校の先生が教える機会がもっと増えるべき」「そのコミュニケーションスキルの中に、リテラシーなどネットによるコミュニケーションも含まれるべき」と述べ、コミュニケーションスキル教育をしっかりやっていくことが一番重要だとの見解を示した。
以上を踏まえて細川氏は、引きこもりの問題の根本は学校での教育にある可能性を指摘し、反抗期の子供への関わり方について聞いた。
これに対して斎藤教授は「私の考えだが、最近親御さんも親としてのゆとりがない」と述べ、少し前の世代に比べて「子供が言うことを聞かないと本気で子供を嫌いになってしまう」「思い通りにならない子供はいらない」という傾向が強まっているように感じると懸念を示した。更に「子どもにとって一番悲惨なのは放っておかれること、無視されること」「反抗はちゃんと関わってもらう為のアピール」だと述べ、「親は振り回されてあげて頂くということが大事」だと話した。加えて、「引きこもっている方を見ると、自己肯定感が非常に低い方が多い」「遡って聞いてみると、親に一度も褒められたことがない、或いは条件付きでしか褒められたことがないという幼少期を持っている人が目立つ」と述べ、「親は自己肯定感の基礎を作る大事な存在」であることを強調した。
「総論yesで各論no」、つまり「(子供の)存在は常に肯定する、(子供の)個々の言動に関しては(親が)嫌なことは嫌だ、と主張していく」というスタンスで子どもに関わるのが大事だとの考えを示した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年5月11日放送の要約です)
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