米・イラン、言葉の戦争激化
Japan In-depth / 2019年5月21日 22時25分
〇 中東
中東関係ニュースはイラン絡みのものが圧倒的に多いが、先週米国の中東専門家の友人とゆっくり朝食を共にしてその理由が見えてきた。誤解を恐れずに極論するが、一言で言えば、彼や筆者が慣れ親しんできた古き良き「中東和平プロセス」を中心とする正統派の中東政策はもう永遠に戻ってこないということなのだろう。
パレスチナ側がPLOとハマースに分裂し、イランがハマースに対する関与・支援を深めたため、中東和平プロセスは事実上頓挫しつつある。本来はパレスチナ問題が中東問題の本質であるべきなのに、分裂と混乱を続けるパレスチナ・アラブ陣営はそうした己の優位を十分生かし切れていない。
イスラエルの強硬派にとって、西岸ガザの占領を恒久化する最良の方法はイランの脅威を前面に出し、その問題解決に焦点を当てることで、中東和平プロセスを実質的に先送りさせることだ。その意味でクシュナー大統領娘婿のような素人が事実上中東政策の責任者となることは各国強硬派にとって「願ったり叶ったり」なのである。
▲写真 ジャレッド・クシュナー上級顧問 出典:Flickr; Chairman of the Joint Chiefs of Staff
〇 南北アメリカ
米与党共和党下院議員がロシア疑惑につき「トランプ大統領は弾劾され得る行為に及んだ」とツイッターに投稿したという。ロシア疑惑で共和党議員が大統領弾劾に言及したのは珍しい。この人、よほどトランプが嫌いか、選挙に強いか、もしくはその両方なのだろう。だが、こうした動きが直ちに共和党内で雪崩を起こす可能性は低い。
〇 インド亜大陸
インドの下院総選挙は23日に開票されるが、出口調査ではモディ首相率いる与党が優勢だという。来週はインドを詳しく取り上げることとし、今週はこのくらいにしておこう。
いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:トランプ大統領 出典:Flickr; Gage Skidmore
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