仏で大論争、延命治療の是非
Japan In-depth / 2019年5月23日 0時10分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
【まとめ】
・仏では法律で延命治療のあり方が定められている。
・植物状態の患者をめぐって親族内で意見が分かれる問題発生。
・延命医療は、法、愛情などが複雑に絡み合い、万人の納得する解答はない。
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「今、私の息子を殺そうとしているわ!モンスター!」
5月20日の朝、フランスのラジオ「フランスインフォ」から悲痛の声が流れていた。10年間植物状態となっている元看護師バンサン・ランベール(42)さんの延命医療を打ち切ることを担当医が決断し、その処置が始まり、息子が回復する可能性を信じ支えてきた母親の嘆き悲しみの叫びが流れていたのだ。
同じニュースでは、延命医療を打ち切りを決めた病院の担当医師が、今までこういった事例の経験はないが、セオリー通りに行けば3日~7日後にランベールさんは永遠の眠りにつくだろうとも伝えていた。
ランベールさんは、2008年に自動車事故にあった結果、脳に重度の損傷を負い四肢が麻痺しており、水分と栄養素の補給受ける延命治療にて生命を維持した、植物状態であると言われている。
実は、最初に延命医療停止の話が出たのは2013年末のことだ。それからランベールさんに対する延命医療の継続について、医師及び家族内で対立が続いてきたのだ。
フランスには、一連の終末期医療関連法による枠組みが存在しており、2005年発布のレオネッティ法では「常軌を逸する執拗な延命治療は、意思表示不可能な患者に対しても禁じる。薬剤などで命を短縮させる措置は患者と近親者に予告すべし」と示されている。
このため2012年末に主治医は、回復の見込みがないランベールさんについて、延命治療の停止を、ランベールさんと同じく看護師でもある妻のラシェルさんに相談し承諾を得たため、2014年の4月に実地する予定とした。しかし、その判断にランベールさんの両親はまったく納得せず、行政裁判所に訴え出たのだ。その結果、延命治療を続ける旨の判決が下された。
▲写真 母親ビビアン・ランベール氏 出典:Wikimedia Commons; Claude TRUONG-NGOC
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