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混迷、インドネシア大統領選

Japan In-depth / 2019年5月24日 14時51分

死傷者が収容された病院関係者も「1人を除き銃弾による死亡ではない」としており、情報が錯綜している。


 


■ プラボウォ陣営の迷走が混乱に拍車


プラボウォ陣営は大統領選を事前予想した各種世論調査を「信用するな」と支持者に訴え、4月17日の投票直後から伝えられた複数の民間機関による「選挙開票速報値」で不利な情勢が出ても「自陣営の独自の集計では60%以上の得票を得ており勝利である」と一方的に勝利宣言して、「プラボウォ内閣」の閣僚名簿を発表するなど迷走した。



▲写真 2019年インドネシア大統領選挙の投票用紙 出典:Wikimedia Commons; AlbaExpat


その後も開票作業を続けるKPUに対し「不正が横行している」と批判、選挙を監督する「Bawaslu」に不正を訴えるも「証拠不十分」として却下されると、今度は内外のマスコミを「中立ではない偏向報道である」と槍玉に挙げるなど、周囲の全てを敵に回す戦術に「往生際が悪い」「潔さに欠ける」との指摘が陣営内部からも噴出する事態になった。


こうした経緯を背景に、プラボウォ氏支持の野党連合だった「国民信託党(PAN)」がジョコ・ウィドド大統領の勝利を認め、「民主党」の実質的指導者のアグス・ハリムルティ・ユドヨノ氏がジョコ・ウィドド大統領と会談して与党連合入りを示唆するなど「野党離れ」、換言すれば「プラボウォ離れ」の動きも出始めている。


 


■ 候補者同士の和解が今後の焦点


多くの死傷者、逮捕者を出した選挙無効を訴えるデモ、集会はプラボウォ氏の支持者と一部イスラム教急進派メンバーによるとされているが、地元紙などの報道では「金をもらって参加した一般市民が多数いる」とも伝えられ、その実態は不明だ。


2014年の大統領選に続いて敗北したプラボウォ氏だが、ジョコ・ウィドド大統領の得票55.50%に対し44.59%を獲得、その差は11ポイントであり、6865万人の有権者から支持され、全34州中13州で優勢だった。


こうした結果を「不正があったため受け入れない」と表明しているプラボウォ氏だが、21、22日の騒乱状態を受けて「暴力的運動はやめて解散し、日常生活に戻ろう」と呼びかけて事態収拾に乗り出した。


選挙結果に不服がある場合は3日以内に憲法裁判所に訴えることが可能で、約1カ月の審査が始まる。


プラボウォ氏は2014年の大統領選でも敗北を受けて同裁に訴え、却下されて敗北が確定した経緯がある。当初「どうせ今回訴えても結果は前回と同じ」と同裁への提訴を拒否していたが、方針を変えて提訴することを表明している。


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