サヘル・ローズ氏「全ての子供に希望を」(後編)
Japan In-depth / 2019年5月27日 0時29分
▲写真 市場で野菜を売る女性 提供:サヘル・ローズ氏
■ 今バングラデシュに必要ものは?
では、外部からの支援面でバングラデシュが必要なものは何か。それは、その国の人たちが働ける環境づくりだとサヘルさんは考える。
「畑を耕し、種をまき、ノウハウを伝え、うまく人材育成ができれば、後は自分たちでやっていけるようになるだろう。企業をつくり、働ける環境の土台を整え、循環をつくる。ロールモデルを提示し、現地の人へバトンタッチすることが必要。」と述べた。
その国の人たちが働ける環境の基盤づくりが、持続可能な支援につながるだろう。
■ 日本に伝えたいこと
今回の旅でサヘルさんが感じたことを踏まえ、改めて日本の若い世代に伝えたいことは、以下の2つだという。
①今の環境への感謝を忘れずに。
「日本という国に悲観的になっていて、外に出てしまう人たちが多い。本当はもっと色んなことができるはず。日本は全て整っている。こっちの方が非現実的なのだから、この環境を当たり前だと思わず、その有り難みを感じながら生活してほしい。」
②旅をしてほしい。「純粋に旅をしてほしい。流れてきた情報だけで知った気になったり、回転寿司のように好きなものだけをつまむのではなく、五感で触れて欲しい。なぜなら、それでしか得られないものがあるから。だから、発展している国を訪ねるのも良いが、そうでない国へも定期的に足を運んでほしい。彼らから学ぶことはまだまだある。」
また、これらを決して重く捉える必要はないと述べ、「支援というのはお金だけではないので、”伝えていく”というバトンタッチをしていきたい。」と語った。
■ ✖「誰かのため」〇「互いのため」
最後に、サヘルさんは自身が生まれてきて良かったと思える瞬間を話した。
「今のお母さんと出会い、“あなたなら大丈夫。やれるから。”と手を握ってくれた時、“私は存在してるんだ”って思えた。それは自分ひとりでは確認できない。そこに誰かがいて、ちゃんと自分を信じてくれる人がいることを感じられた瞬間だった。」と話した。
子供たちが「連れてって(引き取って)」という思いで手を伸ばしてきたとき、今の自分には何もできないことがサヘルさんの心を苦しめるのだという。だからサヘルさんは、「自分がもっと大きな電波塔になって、より遠くにこの子たちの存在を伝えていきたい。それがこれからの自分にできること。バングラディシュは人の心が本当に美しい国よ。」と述べ、「人間って、”誰かの為”だけではなく、”お互いの為”に何かをしていると思う。そのことを、自分の為でもある青空教室を通し、今後も伝えていきたい。」と、再度決意を語った。
(了。前編はこちら。全2回。)
*今回サヘルさんの旅の写真展が開催される。是非、足を運んで頂きたい。
以下詳細:
▲画像 提供 サヘル・ローズ氏
サヘル・ローズ写真展「黄金のベンガル」
会期:6月7日(金)~6月12日(水)
時間:11:00~19:00
会場:オリンパスプラザ東京 クリエイティブウォール
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル 地下1階
TEL:03-5909-0190
アクセス
トップ写真:街で出会った子供達 提供:サヘル・ローズ氏
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