華為技術のスマホが消える?
Japan In-depth / 2019年5月28日 21時4分
一方、今週筆者が個人的に注目しているのは欧州議会選挙だ。23-26日に実施された選挙では民族主義や大衆迎合主義など欧州連合(EU)に懐疑的な勢力の伸長が確実になったと報じられた。最近では、こうした「ユーロスケプティズム」も一時の勢いを失いつつあるとの見方すらあっただけに、筆者のショックは内心小さくない。
特に仏、伊、英では懐疑派が国内第1党になったそうだ。中道路線の親EU派が全体で過半数を確保することは救いだが、予断を許さない状況に変わりはなかろう。昨日英国首相官邸前で辞任を表明したメイ首相は最後涙声になっていた。彼女のショックは欧州良識派のショックでもある。本当に難しい時代になったものだと痛感する。
▲写真 メイ首相 出典:Flickr; EU2017EE Estonian Presidency Follow
〇 アジア
今週も中国のフアウェイ(華為技術)関連ニュースを取り上げよう。ロイターなどによると、アナリストの間では同社の今年の出荷量が最大24%も減少し、将来的には同社のスマホが世界市場から姿を消す可能性もあるとの見方が出ているそうだ。その関連で最近筆者が特に注目するのがFIRRMAと呼ばれる米国の新規立法である。
FIRRMAとは「2018年外国投資リスク審査現代化法」のことで、昨年秋にトランプ大統領の署名を経て成立したものだ。内容的には外国企業の対米投資を審査する外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化する法律である。米国は最近この種の米国企業に対する投資を規制する法令に基づく権限を大幅に強化しているようだ。
米政権が最近、華為技術が米政府の許可なく米国の重要技術を購入することを禁止するとともに、国家安全保障を理由に米国の通信ネットワークから同社の製品を事実上排除する措置を発表したのも、このFIRRMAが根拠法のはずだ。米政府が同規制を解除しなければ同社のスマホ出荷は大幅に減少する、実に恐ろしい法律だ。
▲写真 Mobile World Congress 2015での華為のブース 出典:Flickr; Kārlis Dambrāns
華為技術は既に代替技術を準備しているというが、同社の包囲網は確実に強化されているのではないか。今後は中国が華為技術を守るために対米譲歩をするか否かが注目される。昨年だったか、同様のケースでZTEという中国企業が倒産寸前に追い込まれたが、華為技術はZTEよりはるかに巨大だから、問題はより深刻だろう。
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