マレーシア相次ぐ野生象の死
Japan In-depth / 2019年6月9日 13時26分
その理由は象牙を狙った密猟と住民らによる銃殺や毒殺で、森林開発などで生息地が狭まった結果エサを求めてゾウが農園や畑に現れるようになり、農園関係者や村人らが農産物への被害を避けるためにゾウを「駆除」するケースも多いという。
2012年12月と2013年1月にはボルネオ島サバ州にあるグヌンラヤ森林保護区で計10頭のボルネオゾウが死んでいるのが発見されている。「ウォール・ストリート・ジャーナル」などによると、死んだボルネオゾウの大半が毒物によるもので、毒性の強い食物などを食べたか、人為的に盛られた毒を口にしたか、その原因はいまだに明確には特定されていないという。
2018年7月26日にAFPが伝えたところによると、ボルネオ島サバ州で4歳前後のオスのボルネオゾウ1頭が射殺されているのが発見された。
銃弾はゾウの右腹部を貫通しており、死因は大量出血とみられているが、牙が残されていたことから密猟者による射殺ではなく、付近のアブラヤシ農園の作物を管理する村人による犯行とみられていると報じられた。アブラヤシの実はボルネオゾウの好物とされている。
▲写真 アブラヤシの幹と実 出典:Wikimedia Commons; Bongoman
マレーゾウの中でもボルネオゾウは小型で「ピグミーエレファント」とも称され、ベビーフェイスと大型の耳が特徴だ。世界自然保護基金(WWF)によると野生のボルネオゾウ生息数は約1500頭とされ絶滅の危機に瀕している。
ボルネオの熱帯雨林を生息地としているが、WWFなどによると2017年以降、少なくとも18頭のボルネオゾウが密猟などで死んだという。
■ 棲み分けによる保護が急務
ザビエル大臣によると野生動物保護・国立公園関係者がゾウの死骸が発見された地域を調査したところ、村人の居住地にゾウが近づかないようにする電気柵が周辺には設置されていたものの、故障で機能していなかったことが判明したという。
「電気柵の故障もゾウが農園や村落のある地区に近づいた一因の可能性もある」としてザビエル大臣は関係当局やパームオイル業界団体などと協力してマレーゾウが生息する保護林とパームオイル農園や集落との境界に電気柵を早急に設置・整備するよう指示した。
電気柵でゾウと人との棲み分けを明確にすることにより、ゾウの保護林外への行動を防ぎ、ひいてはゾウを殺すことの予防になるとの考えに基づいた方針という。
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