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権威回復目論む金正恩の狡猾

Japan In-depth / 2019年6月16日 19時0分

労働新聞は5月30日付で「良心は人間の道徳的風貌を規制する尺度」との個人論評を掲載し、北朝鮮で一連の粛清があったことを示唆した。そこには「首領(金正恩)に対する忠実性は、義務である前に良心であり、実践でなければならない。革命の道では、首領の崇高な道徳義理を身につけ価値の高い生活の頂点に上がる人もいれば、一方で首領への忠実性を言葉だけで覚え、甚だしくは大勢に応じて変化する背信者、変節者も現れる。忠実性は決して闘争年限や経歴から出てくるものではない」「首領の構想と意図を実現するために、自身の血と汗、命までも躊躇なく投げ打つ良心を持つ人間、義理の人間が真の道徳の強者、真の革命家である」と綴られ、今回の処罰・粛清がどのような名目のもとで行われたかが暗示された。



▲写真 マイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長 出典:CSIS ホームページ


マイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長も、ポンペオ米国務長官の発言や上記労働新聞論評などを踏まえて分析した上で、「北朝鮮で実際に粛清作業が進められたと見ている」とした(中央日報日本語版2019・6・11)。


だが、親金正恩の「ハンギョレ新聞(韓国)」は、情報の深い分析もしないまま、金英哲と金与正が姿を現しただけで、いち早く朝鮮日報報道を「誤報」と決めつけた。金正恩の意中を忖度したとしか思えない対応だ。このハンギョレ新聞報道に合わせて日本で「誤報」との主張を行ったのがコリアレポートの辺真一氏だった。



▲写真 辺真一氏 出典:辺真一のコリア・リポート twitter


■ 「クロスチェック」と「合理的推理」で金正恩のウソを見抜け


確かに辺氏が指摘するように韓国メディアには誤報が多い。朴謹恵大統領弾劾時には、「朴大統領は崔順実によるマインドコントロールで政治をしていた」「開城工団閉鎖は崔順実の指示によるものだ」などと数えきれないほどのデマが垂れ流された。日本のTVメディアもそれに便乗して情報番組のネタにした。それに火を付けたジャーナリスト・評論家も数多くいた。誰それとは言わないが胸に手を当てれば分かるはずだ。


しかし、そうだからと言って、韓国発情報をすべて疑っていては朝鮮半島情報の分析が成り立たない。情報の中からデマでないものを選び出すのが情報分析の第一歩なのだ。そのためには複数の情報源をもって「クロスチェック」する必要があるが、それとともに必要なのが「合理的推理」だ。金正恩のウソを見抜き閉鎖的な北朝鮮を分析するにはこの二つの作業は必須となる。


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