成果無い安倍外交のこれから
Japan In-depth / 2019年6月21日 8時55分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・外交・首脳会談において、かつての首相と一線を画す安倍首相。
・解決すべき外交課題についてはほとんど無視されてきた。
・国際社会へのアピールと東南アジア諸国の支援や仲間づくりが肝要。
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安倍政治で注目を浴びるのは、いつも外交である。日本の政治家は言葉の問題もあって外交は不得意という印象が強かった。しかし安倍首相に限っていえば、とにかく訪問や招待を含め、外国首脳との会談は戦後随一だろう。トランプ大統領やプーチン大統領との会談は20回を越し、中国や韓国、欧州首脳との会談も多い。最近は北朝鮮の金正恩総書記との対話にも「条件をつけずに話したい」と意欲をみせている。
▲写真 2018年G20での安倍首相とプーチン大統領 出典:ロシア大統領府
過去において日本の首相は、必ずしも首脳会談に熱心ではなかった。国内政治、特に野党との付き合いが重要と考えていたし、地理的にアジアの東端に位置する日本としては長い期間にわたり首相が国内を空けることへの批判が野党などには多かったからだ。
首相が海外訪問する場合は、先進国同士や東南アジア諸国との会合を利用するケースがほとんどだった。このため外国首脳とのつきあいは、どうしても形式的になったし、腹を割って話し合ったり個人的に仲良くなるケースは少なかった。ところが、安倍首相は好んで外国に出かけ、行った先で趣味のゴルフなどをしたりしていたので、個人的にも付き合い幅を広げており、いつの間にか安倍首相の世界における存在感も高まっていた。
しかし、海外訪問は多いものの各国間との外交的課題についてはこの数年間で進んできたとは言い難かった。トランプ大統領は安倍首相との個人的相性の良さは認めたものの、日本に対する貿易赤字について毎回言及してきたし、自動車や農産物の関税引き下げ要求もしつこいほど述べたててきた。
また韓国はすでに決着がついたはずの第二次大戦中の徴用工の賠償について蒸し返してきているし、日本が最重要視している北朝鮮との拉致問題について北側は「すでに解決済だ」との姿勢を繰り返すばかりで新しい情報などを出そうとしていない。
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