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トランプ氏、日米同盟は不公平 集団的自衛権の禁止とは 1

Japan In-depth / 2019年7月1日 23時0分

同盟とは相互の防衛の誓いである。集団防衛のシステムでもある。同盟に加わる諸国がみな一致して共同して外敵と戦うことが基本である。北大西洋条約機構(NATO)のような多国間の同盟でも、アメリカと韓国、アメリカとオーストラリアという二国間同盟でも、みな同様に双務的であり相互的なのだ。


だが日米同盟だけは世界で唯一、例外である。日本はアメリカ本土が攻撃された場合はもちろんのこと、日本の領海、領土のすぐ外で、日米共同の安全保障のために活動していた米軍や米国民が軍事攻撃を受けても、なにもしなくてよいのだ。支援をしてはいけないことになっている。日本の領土領海が攻撃を受けなければ、アメリカとともに戦う集団的自衛権は発動できないのである。


その特異性は日本の憲法9条が原因である。戦力の保持の禁止、交戦権の禁止、軍事力の保持や行使の禁止をうたう憲法9条の解釈により、日本にとっていかに重要な同盟相手国でも、その防衛のためには戦ってはならないとされるからである。だからアメリカからの日米同盟の片務性批判は日本にとって集団的自衛権の問題、憲法の問題に直結している。国のあり方の根幹を問われる課題なのだ。


だからこそ今回のトランプ発言を軽視することはできない。なにしろ日米同盟の片務性批判は憲法9条の問題や集団的自衛権の問題とからみあって、アメリカ側ではすでに長い年月、述べられてきたからである。ではアメリカ側では具体的にその日米同盟や日本国憲法への批判はどのように展開されてきたのか。その詳しい系譜を追ってみよう。トランプ大統領がたまたま今回、正面から提起したこの課題には非常に長い歴史と深く広い経緯が存在するのである。



▲写真 日本陸上自衛隊と第17旅団第17歩兵連隊の第1大隊出身のアメリカ人兵士との二国間演習 出典:Flickr; The U.S. Army


その前に片務、双務を分ける集団的自衛権について説明しておこう。


そもそも集団的自衛権というのは全世界どの主権国家も保有する権利である。自国を守るための方途の一つなのだ。それを行使する権利も同様に全世界共通である。集団的自衛権の行使を最初から禁止する国家というのは日本以外には存在しない。その日本が他の諸国並みの権利を自らに与えようとすると、日本国内の特定勢力は日本がいかにも侵略戦争を明日にでも始めるというような調子で日本自身を糾弾する。


そうした反対論はそもそも集団的自衛権があくまで権利であり、決して義務ではないという基本をも無視している。この権利を行使する自由を得ても、実際の行使にあたっては、その時点での国の外部の状況を総合的にみて、判断を下すことは当然である。行使の権利はあっても、実際の行使はしないという判断も下されるのだ。だがその行使の権利が最初からすべて否定されていれば、危機や脅威への対応策は大幅に縛られてしまう。


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