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ミャンマー、男女格差の現実

Japan In-depth / 2019年7月4日 18時0分

 


彼は、囚人服をキャンバスにし、お皿やライター、注射器、彼自身の指や体など、使えるものは全て使いアートを生み出し続けた。そして出来上がった作品達は、仲良くなった看守達の手によって外の世界へと運び出されたのだ。



写真)刑務所のお皿(手のひらサイズ)を使用して描いた、受刑者の顔 「Gloomy Room3」 (C)Japan In-depth編集部


 


ティン・リン氏は「驚くことに、獄中という環境であったが為に、世の中から検閲されることも批判されることもなく、表現しようとするものが全て表現できた。」と述べた。ミャンマーという国がいかに表現の自由がなく、軍事力に支配されているかが伺える発言であった。


 


ミャンマーは社会主義から現在、民主主義へと変わろうとしている国家であり、未だに人種差別や男女差別もはっきりと残っている。ティン・リン氏はアートを通し、男女格差をテーマとしてメッセージを伝えたが、現在ミャンマー西北部のラカイン州に住む、イスラム系少数民族のロヒンギャ難民問題も世界的な問題となっている。


 


仏教徒が多いミャンマーでは、イスラム教少数派のロヒンギャ族は不法民族扱いとされ、国籍さえももらえず、様々な差別や迫害に長年苦しんできた。ロヒンギャ問題は以前から存在していたが、2017年8月、何者かによる大規模虐殺、襲撃が発生した。死傷者は最低でも1ヶ月に6500人ほど存在し、ロヒンギャ人は安全確保のためバングラデシュへと避難を余儀なくされた。


 


これに対し日本政府は、ミャンマーの難民問題に対する国連総会決議の参加を棄権した。多数の国がミャンマー政府の軍事力行使の停止に賛成し、ロヒンギャ一族の人権の保護に向けて活動している中、日本政府の行動に、Human Rights Watchは批判の声をあげている。「ミャンマーの政治的・経済的パートナーという日本の立場を中国政府に奪われないため」だというのだ。


 


ティン・リン氏は当時の経験も含め、「ミャンマーの社会、政府、警察までも軍事的圧力によって全てコントロールされてしまっている。」と述べた。ロンジープロジェクトによって日本でも依然社会に存在する男女の格差、そして人権問題についてもう一度考え直す人が一人でも多いことを願う。


 


トップ写真)ティン・リン氏とのダイアログセッションの様子


©Japan In-depth編集部


 


訂正: 


2019年7月4日21時 54分、文中の以下を訂正致しました。


訂正前:ミャンマー軍による大規模虐殺


訂正後: 何者かによる大規模虐殺


 


2019年7月6日 12:48分、文中の以下を訂正致しました。


訂正前:今年(2019年)8月


訂正後:2017年 8月


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