「一国平和主義」への非難 集団的自衛権の禁止とは 3
Japan In-depth / 2019年7月5日 12時3分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・アメリカは20年以上前から日本の集団的自衛権行使の解禁希求。
・日本の集団的自衛権行使禁止による片務性で日米同盟崩壊の危機。
・冷戦後、米は日本の軍事面での能力向上歓迎。しかし日本応えず。
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これまで日本が集団的自衛権を行使しないことへの国際的な批判を説明してきた。
第二はアメリカからの批判である。
日本が集団的自衛権を行使することをみずからに禁じているという状態は日米同盟のまさに片務性となる。有事にも日本はアメリカを助けない。日本自身が攻撃されない限りは、なのだ。この点へのアメリカの批判は国際的な批判よりもずっと重大である。日本を守る日米同盟の浮沈にかかわっているからだ。
この点、日本側では米軍に日本国内の基地を使わせること、さらにはその在日米軍の経費を日本がかなりの部分、負担すること、などをあげて、「片務的ではない」と反論する。
▲写真 在日米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)。日本政府は基地提供義務などを挙げ日米同盟の「片務性」を否定。出典:Sonata [CC BY-SA 3.0]
だが同盟の核心はそこに加わる国家の防衛行動、つまり有事に実際に戦う意図や能力があるかどうか、である。第三国からの武力攻撃にともに戦う意思があるかどうか、という点こそが同盟のあり方を左右するのだ。その防衛行動は施設の提供や経費の支払いとはまったくの別次元のことなのだ。
人間社会で強盗や殺人という凶悪犯罪が起きて、その犯人を実際に取り抑えて、暴力を止めることと、その取り抑える行動を起こすための空間を提供することや、経費を出すことがどれほどかけ離れた行動であるかを考えれば、わかりやすい。危険な仕事は他人にさせて、自分はその結果、得られる安全を享受するだけとなれば、危険な仕事をさせられる側は不公正、不平等として激怒するだろう。
まして他人に生命の危険をかけてまでの戦闘行動を取らせて、守ってもらう側が「カネを払っているから文句はないだろう」と開き直るような関係には相互防衛は成り立たない。
日本の国家の外部に対する防衛や安全保障は戦後、一貫して日米同盟に頼ってきたことを事実として認めない人はいまでは日本側でも少ないだろう。日本は米軍の強大な軍事力を自国の防衛に抑止力として取りこむことで安全保障の態勢を保持してきたのだ。だからいまの日本の集団的自衛権のあり方もまず日米同盟の観点から考えることが欠かせなくなる。
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