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パフォーマンス理論 その19 停滞について

Japan In-depth / 2019年7月14日 7時0分

人はよく自分に合うチームや環境を探したがるが、どのような環境であれ、いやむしろ心地よければ良いほど、停滞はやってくる。幸福感の最大化であれば、自分に合うチームを探すことが望ましいと思うが、自分のパフォーマンス向上を考えるのであれば心地よい場所にいすぎてはならない。または、同じ場所だったとしても自分から自分の環境を揺さぶり続けなければならない。


もう一つ、一度ぴたりとやめてみることも停滞を抜ける上で効果がある。人間はほとんどの時間を習慣の中で生きている。自分で決めているようで、自由に考えているようで、これまでにやってきて体に染み付いている動きや考え方に基づいて生きている。そして習慣を生きている時に、それがただの習慣だとは人は気づかない。だから一度やめてみて全体を眺める必要がある。怪我をした選手が復帰後すぐ高いパフォーマンスを発揮することがあるが、私は強制的に競技から距離を置くことで無駄が省かれ何が本質かが見えるようになるからだと思っている。習慣は強力だが、なんのためにやっているのかを煙に包んでしまうことがある。


停滞は競技を長くやれば避けられない。特に長く組織にいることや、秩序を保つことを是とする日本では、停滞にハマりやすい。停滞は見る人から見れば安定に見えるし、そもそも秩序の中でしか生きたことがない人間は混沌状態で生命が活性化する自分を経験したこともない。かなりこじつけて言えば、私は現在の日本は秩序が高まりすぎているように見える。そして歴史を振り返って日本が伸びてきたのはいつもなんらかの理由で混沌状態に追い込まれた時だったと思う。


個人レベルにできることは、とにかく違うコミュニティに触れておき、自分を落ち着かせないようにすること、そして定期的に距離を取り、習慣から離れてみることだろう。また、停滞とは静かに進行するもので、はっきりと停滞したなと感じる頃には停滞はかなり進んでいる。高倉健さんが、やくざ映画が大人気の頃にこれは続けてはならないと思いやめたと言われているが、停滞は好調状態ですでに進行し始めていることが多い。


秩序自体は悪くない。何かを安定的に生み出し続けるためには混沌より秩序の方が圧倒的に望ましい。特に高校生や大学生ぐらいであれば、チームのメンバーは定期的に入れ替わるので一定の秩序が必要だろうと思う。また安定は人を安心させ幸福感も高める。ただ、トップアスリートの世界のようにある時期の間で頂点にどれだけ近づくのかという競争で言うならば、秩序状態はそこそこの成長は生んでも人を爆発的には成長させない。混沌は苦しい。しかしだからこそ人は成長する。


 


 


トップ写真)Pixabay Photo by RemazteredStudio 


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