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進むGPIFの国債離れ

Japan In-depth / 2019年7月9日 23時0分

進むGPIFの国債離れ


八木澤徹(日刊工業新聞 編集委員兼論説委員)


【まとめ】


・GPIFの資産構成で国債など国内債券比率は08年度以降最低に。


・マイナス金利の影響を最小限にするため、国債運用比率の減少続く。


・財投計画減により、急速に地方経済の疲弊やインフラ老朽化が進行。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46768でお読みください。】


 


厚生年金、国民年金などの公的年金を運用する年金積立運用金管理運用行政独立法人(GPIF)の2018年度の運用実績は2兆3795億円の黒字だった。


運用利回りは1.52%で黒字は3年連続。18年10~12月期は四半期で14兆8000億円の運用損を計上したが、FRBが利上げを見直すとの観測から海外株高を受け期末での業績が回復した格好だ。


19年3月末の運用資産は159兆2154億円で、18年3月末(156兆3832億円)から拡大した。このうち市場運用分は158兆3191億円で、アクティブ運用は22%に達した。


資産構成別に見ると、国内株式が23.55%、外国株式が25.53%、外国債券は16.95%。一方、国債など国内債券比率は26.30%と08年度以来、最低となった。


収益の内訳では、外国株式での運用が3兆1411億円、国内債券は5959億円、外国債券は6975億円の黒字。一方、国内株式は2兆732億円の赤字だった。17年から本格的に開始したオルタナティブ投資の時価総額は4327億円。最近では海外不動産への投資も開始している。


GPIFは国内株式を底支えしているが、株式投資やこれらの利回りが見込める投資にはリスクも内包する。昨年10~12月期は四半期で15兆弱もの運用損を出したのも期末の株価下落のせいだ。


かつて、財政投融資制度の下、国債償還を支えてきたのはGPIFのルーツである旧厚生省管轄の年金福祉事業団と、旧郵政省(郵政事業庁、日本郵政公社を経て現日本郵政グループ)の郵貯、簡保の「財投3兄弟」だった。


この3兄弟は橋本行革での財投改革、小泉内閣での郵政民営化、GPIFへの移行で解体され、日銀の低金利政策と相まって急速に「脱・国債」化を進めていった。07年10月の民営化以前、国債が中心の郵便貯金の運用は民間をしのぐ競争力を持っていた。当時の日本郵政公社の04年3月期決算では、郵貯の最終利益は当時の東京三菱銀行の約4倍の2兆2755億円にも達していた。


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