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空疎な日本の「トランプ論」

Japan In-depth / 2019年7月10日 18時0分

 


その記事を紹介しながら私なりのトランプ論を述べていこう。


 


<<【ポトマック通信】トランプ批判、気楽な商売


 


トランプ米大統領の訪日に合わせて日本に戻った際、テレビでトランプ政治に関する討論番組などを見ていて、珍妙な言説に遭遇することが時々あった。


 


例えば、米中の「貿易戦争」や北朝鮮に対する非核化要求など、全ての主要政策を「来年の大統領選での再選のためのパフォーマンス」などと十把一からげで選挙と結びつけて論じる皮相な分析だ。


 


あるいは、マティス国防長官が昨年末に辞任して以降は「トランプ氏の周辺にはイエスマンしかいない」と断じる記者や有識者が、北朝鮮やイランの核問題では「政権内部が強硬派と穏健派で割れている」と矛盾した指摘をする。


 


大統領の最終的な政策決定に閣僚や高官が従うのは当然であって、それをもって「イエスマンばかり」というのは適当でない。>>



写真)マティス元国防長官


出典)Flickr; Archive: U.S. Secretary of Defense


 


以上が黒瀬記者の記事の前半である。まず日本側の「トランプ大統領の動きはすべて来年の大統領選のためのパフォーマンスだと断じるのは皮相」と批判する。確かにトランプ大統領の中国への貿易不公正慣行の是正要求や北朝鮮の核兵器破棄要求はトランプ氏の当戦前からの公約だった。アメリカ有権者に対してその追求を誓った政策なのである。本来、存在しなかった政策を単に再選のために掲げるようになったかに描く日本側識者の認識は明らかにゆがんでいる。黒瀬記者のコラム記事はさらに以下のように続いていた。


 


<< 一方、政権内部の「意見対立」に関してであるが、こうした批判をする方々に限って、オバマ前大統領がリンカーン元大統領にならって立場や主張の異なる人物をあえて登用した、との逸話を好意的に評価していたりするから不思議だ。


 


逆に言えば、この程度のことをもっともらしく語れれば「トランプ氏に詳しい専門家」として通用するのだから、「トランプ評論家」は気楽な稼業だ、と言ってしまうのは嫌みが過ぎるだろうか。(黒瀬悦成)>>


 


以上がこの記事のすべてだった。


 


黒瀬記者の指摘のように、日本の識者のトランプ評では「トランプ大統領が一人ですべてを決めている」という断定が多い。「部下はみな大統領の決定に自動的に従うだけ」というわけだ。であれば、「政権内部に対立がある」という指摘は矛盾する。こんな程度のことを「もっともらしく語れば『トランプ評論家』として通用するのだから気楽な稼業」というわけである。


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