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パフォーマンス理論 その20 怪我について

Japan In-depth / 2019年7月15日 7時0分

リハビリで、全体を眺めて問題点がある場所にフォーカスしてそれを改善すると、今度は全体のバランスは変化してしまうということが起きる。例えば、全体像としてAAAを目指しているが現在はAABだという状況があるとする。選手はBをAにしようと努力しフォーカスするが、そうすることですでに全体がACBに変化する。結果はACAになり今度はCにフォーカスするということになる。怪我のリハビリでは局所的に対処しつつ、一方で全体はどうなっているかを俯瞰するという、集中と俯瞰の視点を交互に行わなければならない。全体を部分に分解し、その部分を再び集めてもそれは全体にはならない。全体とは連動であり繋がりのことで一つの機能・部分として切り離すことはできない。


怪我をしてしまってからは以下の三つに気をつけてほしい。これは私が後悔していることでもある。


 


1、痛みを試そうとしない


怪我の最中、どうしても痛みを確かめたくなり、もしかしてもう走れるんじゃないかと、ジョギングをしてみたり、また少し膝の曲げ伸ばしをしてしまうことがよくあった。経験からいってこういったことは怪我を長引かせるだけで本当に一つもメリットがなかった。ちゃんとスケジュールを決めて一切その間は痛いかどうか試したりしないことが結局近道になる。また時々この試し行為によって痛みが出ないポジションを見つけてしまうことがあるが、これにはよく気をつけた方がいい。本当にただ正しい姿勢で痛みが出ないのであればいいが、痛みを避けて誤魔化している場合、全体の動き自体を歪めてしまっている。そうなると今度は違うところに負担がかかりそこが怪我をする可能性がある。また厄介なのは、痛みはないが力も出ないポジションで体が記憶してしまう可能性がありその場合は競技力自体が低下する。正しいポジションから逃げてはならない。


実際に怪我をしてしばらく競技から離れても、ちゃんとカムバックできる。むしろ競技力自体が高まる可能性があるぐらいだ。休むことへの罪の意識や焦りがどうも日本のスポーツ界には強すぎるような気がしていて、陸上であれば1年ぐらい休んでも途中でちゃんと練習を継続していれば3,4ヶ月で戻ってこれる。


 


2、無駄な時間だと考えない


私は怪我をしている間に、もしあの時怪我さえしていなければこんな無駄な時間を過ごすことも、人を羨むこともなかったと悔やむことが多かった。だが、無駄と考えていること自体が精神衛生上良くないし、また負の側面に意識を向けすぎることでせっかく土台となる能力を鍛える機会に前向きに取り組めなくなってしまう。実際に、私は怪我をした時に、なぜ痛みが出たのかを考えることで自分の動きへの理解が深まったし、苦しくなると投げ出す自分を見て自分への理解が深まった。自分を理解する上で怪我ほど良い機会はない。


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