北朝鮮、改訂憲法「核保有国」再明記
Japan In-depth / 2019年7月16日 11時0分
そして2019年2月の「ハノイ米朝首脳会談」直前には、某有名大学準教授による「(金正恩が新年辞で)直接、“完全な非核化”の意思を国民に伝えているのは重みがある」と金正恩が北朝鮮の非核化に踏み込んだかのごとく解釈し、「ただこれはあくまでも米国との交渉の中で、米国がどれだけ譲歩するかに関わっている」などと、あたかも北朝鮮の核保有が米国の責任であるかのような主張まで飛び出した。
こうした「金正恩が核放棄を決心したようだ」との誤った判断を世界に広めた大元締は、韓国大統領の文在寅氏だった。彼は、「金正恩が核放棄を決意した」とあたかも金正恩の代弁人のごとき発言を繰り返し、「北朝鮮に対する制裁を解除しなければならない」と世界を駆け回った。金正恩にその意思がないことが明確となった「ハノイ米朝首脳会談」決裂後もそれを続けている。
文在寅氏が言うように「金正恩が核の放棄を決心した」ならば、今回の憲法改訂で序文から「核保有国」との語句をなくすか、なくす余韻ぐらいは残していたはずだ。
▲写真 文在寅韓国大統領と金正恩委員長(2019年7月2日板門店)出典:DPRK(North Korea)Twitter
■ 金正恩には核放棄の意思もなく、放棄もできない
金正恩委員長は執権後一貫して核ミサイル開発に全力を注ぎ、「核保有国」を宣言してきた。2013年3月31日の朝鮮労働党中央委員会全員会議の報告の中では、「経済建設と核武力建設の並進路線」を提示し「先軍朝鮮の核兵器は、決して米国のドルと換えようとする商品ではなく、政治的駆引きや経済的取引きの対象物ではない」と主張し「巨万の金をもっても替えがたい民族の生命であり統一朝鮮の国宝である」と核保有の恒久化宣言を行った。
また、2016年に開かれた朝鮮労働党第7回大会の報告でも「経済建設と核武力建設を並進させる路線」を提示し、「わが党の新しい併進路線は、急変する情勢に対処するための一時的な対応策ではなく、われわれの革命の最高利益から出発し恒久的に堅持する戦略的路線であり、最も正当で革命的な路線である」と主張した。「大会決定書」には「核兵器の小型化、多種化を高い水準で実現し、核戦力を質・量的に強化して『東方の核大国』に輝かせていく」と記した。
そして大会直後には、「北朝鮮の非核化」とされてきた「朝鮮半島の非核化」用語を再定義し、それは、北朝鮮だけの非核化ではなく、朝鮮半島とその周辺にある米国の核や核の傘と、太平洋地域の米軍の戦略資産配置まで無くすこと(2016年7月北朝鮮政府声明)と主張し始めた。すなわち「朝鮮半島の非核化」は「核軍縮」であると再定義したのである。
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